市街地でもエゾシカ急増…それもそのはず過去10年最高73万頭 “対策の切り札”最前線に迫る
道は「危機的な状況」として対策を強化しています。
エゾシカの推定生息数が過去10年で最多の73万頭となり、市街地での目撃も相次いでいます。
とくにこれからの時期、注意が必要だということです。
住宅のすぐそばで10頭以上のエゾシカが平然と草を食べています。
2024年8月、室蘭市内の住宅街で撮影された映像です。
カメラが近づいてもこちらを見つめるばかりで逃げる気配はありません。
市街地での目撃が相次ぐシカ。
札幌市のマンションの敷地内でも堂々と居座ったり…
道路を横断しようとして車と衝突したり…
シカが関係する交通事故も、2023年に過去最多の5287件発生しました。
専門家はこれからの時期、特に注意が必要だと話します。
(道総研 道東地区野生生物室 稲富佳洋研究主幹)「10月になると交尾期になって、オスがメスを求めて行動が活発になる時期になります。オスが市街地に侵入するリスクが高まる」
シカの推定生息数は、2023年度に過去10年で最多の73万頭となり、増加の一途をたどっています。
(道 野生動物対策課 新井田順也担当局長)「増加に歯止めがかけられておらず、大変危機的な状況」
道などが開いた対策会議では、深刻な農業被害が報告されました。
畑の作物を食べたり…
果樹の皮をはがしたり…
被害額はおよそ48億円にのぼり、農家にとっては死活問題です。
こうした中、最新の対策に期待がかかっています。
無人カメラがとらえたシカの群れ。
次の瞬間。
シカの警戒音に似た音が鳴り、群れは散り散りになって逃げていきました。
シカを追い払っていたのは実証実験中のこちらの装置。
ただ音を出すだけではありません。
(藤得記者)「スピーカーから50メートル離れた場所ですが、センサーを横切ると、このように音がはっきり真っすぐ聞こえます」
特殊なスピーカーで遠くにいるシカにも音を拡散させず「ぶつける」ことができます。
従来の追い払い装置は、シカが音に慣れてしまうことが課題でしたが、この装置は音の出どころが分かりにくく「慣れ」の防止が期待できます。
(三菱電機北海道支社事業推進部 石光弘貴さん)「農作物に被害を与えるところに対して、こういった装置がお役に立てれば」
年々増加するシカの出没。
道は2026年12月までを「エゾシカ緊急対策期間」として捕獲を強化しています。