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自然の宝庫 相次ぐ太陽光発電の建設 自治体は対応に苦慮 北海道・釧路湿原

2024年3月27日 18:50
自然の宝庫 相次ぐ太陽光発電の建設 自治体は対応に苦慮 北海道・釧路湿原

自然豊かな北海道・釧路湿原の周辺で、太陽光発電施設の建設が相次いでいます。

釧路市は、生態系や景観を壊す恐れがあると懸念していますが、推進する国の方針に止める術はなく対応に苦慮しています。

道東の釧路へ向かうと見えてきたのは、数々の太陽光発電の建設地です。

(武田記者)「釧路湿原の周辺のこちらでは、太陽光発電の設置工事が進められています」

釧路湿原の周辺で相次ぐ太陽光発電の建設。

釧路市新野地区では、東京の事業者が土地およそ4ヘクタールを購入し、工事を進めています。

(釧路市市民環境部環境保全課 佐々木敦史さん)「釧路地域におきましては、日照時間の長さだとか降雪量の少なさ、平坦な土地が多い。事業者にとっては発電効率が良い地域と言われていますので広がってきています」

釧路湿原といえば日本最大の湿原で、国指定の特別天然記念物・タンチョウをはじめ希少な野生動物が生息する自然の宝庫です。

中でも、絶滅危惧種のキタサンショウウオは、釧路湿原など限られた場所にしか生息していません。

環境省は4年前、太陽光発電の工事で土地が埋め立てられるなどして、キタサンショウウオの絶滅危惧種のレベルを2ランク引き上げました。

その生息地は全体で5400ヘクタール。

釧路市に設置工事の問い合わせが令和5年度で42件あり、976ヘクタールもの敷地が太陽光発電に代わる可能性があります。

13年間、釧路湿原を見つめてきた地元の人はー

(地元の人)「いろんな悪い影響が植物・動物に出るのではないかと思って どうすればいいのかというと代案はないので、本当にこれを見ると困っている。それだけですね」

一方、釧路市は去年7月、事業者に関連する法律の順守するチェックリストを、着工の60日前までに提出するようガイドラインを設置しました。

一定の効果は出ていますが、条件を満たせば釧路市は届け出を受けざるを得ません。

再生エネルギーは経済産業省が推進する国策で、自治体には対策の限界があるといいます。

(釧路市市民環境部環境保全課 佐々木敦史さん)「国や道に対して、この地域の優れた景観や希少な動植物の保護、災害時への適切な対策といった法令等の整備について、国に要望を行っています。国に法規制を進めてほしい」

環境に優しいと謳う太陽光発電が自然を壊しかねない矛盾に有効な対策が急がれます。