相次ぐ脱輪事故“大半は左側のタイヤ” 道路構造が関係 札幌・女児重体事故から1か月
(百瀬記者)「札幌市北区の交通量の多い道路です。黒い乗用車の左前のタイヤが外れた状態になっています。さらに奥には外れたタイヤも確認できます」
13日もタイヤが脱落する事故が起きました。
けが人はいませんでしたが、先月から道内各地で事故が相次ぎ、なかには人に直撃する被害も。
ちょうど1か月前の先月14日。
札幌市西区で走行中の軽乗用車のタイヤが外れ、4歳の女の子に直撃した痛ましい事故。
女の子はいまも意識不明のままです。
運転していた50歳の男性は、逮捕・送検されていましたが処分保留で釈放され、在宅のまま捜査が続けられています。
この事故以降、走行中の車のタイヤが外れる事故が相次ぎました。
ちょうどタイヤ交換のシーズンとも重なるこの時期。
それぞれの事故を検証すると、ひとつの共通点が浮かび上がってきました。
「左側のタイヤが外れやすい」
事故の大半は、左側のタイヤが外れていました。
なぜ左側ばかり外れるのか。
そのわけは、道路の構造が大きく関係していました。
(近畿大学 梶原伸治准教授)「つねに(左側には)負荷がかかりっぱなしになるので、負荷がかかるとねじ(ナット)が緩みやすくて、タイヤが取れやすい」
専門家によると、道路は断面から見ると、排水のためかまぼこ型になっています。
そのため若干傾いた状態で車は走行をしていて、つねに左側に負荷がかかります。
これが左側のナットが緩みやすい原因になるということです。
さらにー
(近畿大学 梶原伸治准教授)「乗用車の場合は前輪側にエンジンがあるので、乗用車の場合は前輪が重たくて、前輪の方が比較的外れやすい。一方で、トラックは荷物を積むと、後ろのタイヤの方はかなり重たいので、左の後ろのタイヤが一番外れやすいと言えると思います」
これまでの事故でも、乗用車は左側前輪のタイヤが外れていることが多く、大型トラックなどは左側の後輪が外れていました。
(警察官)「タイヤの脱落事故相次いでいるので気を付けてください」
14日も道内では悲惨な事故を未然に防ごうと呼びかける姿がー
ロードサービスの作業員は、右左関わらず、タイヤ交換直後はもちろん、交換後しばらく走ってからの点検が重要だと力説します。
(JAF札幌支部 安藤純一さん)「タイヤ交換のときに正しく取り付けられていても、少し走行すると(部品に)すき間が生じて、そこを増し締めで埋めてあげる、そういった作業が必要になる」
タイヤ交換で残っていたさびや汚れなどが走行時の振動で取れ、すき間ができてしまうため、そのすき間を埋めるいわゆる「増し締め」が必要だといいます。
(JAF札幌支部 安藤純一さん)「ちょっと体重をかけて緩みがないか確認するだけでも十分効果はある。100キロ程度走ったら1度は(増し締めは)必ず行っていただきたい」
雪国・北海道。
冬と春のタイヤ交換は欠かせない作業です。
これ以上痛ましい事故を起こさないためにも、あたりまえの点検作業があたりまえに必要です。