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挑戦から1年弱で営業黒字転換も実現 北海道老舗企業の「リブランド」徹底解剖! サザエ食品・千秋庵が古い殻を打ち破る、強かな生き残り戦略の全貌とは 北海道

2024年12月8日 7:53
挑戦から1年弱で営業黒字転換も実現 北海道老舗企業の「リブランド」徹底解剖! サザエ食品・千秋庵が古い殻を打ち破る、強かな生き残り戦略の全貌とは 北海道

ロゴの変更に新商品の投入。

北海道内の老舗メーカーがこれまで培ってきたブランドイメージを刷新する動きが進んでいます。

古い殻を打ち破り、時代をつかもうとする企業の戦略を取材しました。

北海道の老舗メーカー”サザエ食品” 「リブランディング」でイメージ刷新へ挑戦始まる

小豆色のまるまるとした「おはぎ」。

もち米がたっぷりとあんこに包まれています。

道民が慣れ親しんだこちらの商品はー

(購入客)「おはぎっていろいろあるけど、やっぱりサザエのおはぎは口では言えないな。サザエっていう味ですよ。1回5個くらい食べる」

サザエ食品が一つ一つ手作りしているおはぎです。

あんこに使っているのは十勝産の小豆です。

機械で丁寧に洗浄してから十分に加熱し、砂糖などを加えるとー

サザエ食品の代名詞・おはぎの主役である、あんこの完成です。

サザエ食品はこのほど「リブランディング」を行うと発表しました。

これまで作り育ててきた自社のブランドイメージを刷新するという意味です。

(サザエ食品 石水創社長)「ブランディングとは約束と生き様である。この言葉にガッと刺さりまして。サザエの強みは何か、サザエはこれからどういう方向にいくのかというのを決めていきました」

おはぎの名店「サザエ食品」の歴史 漫画・サザエさんのにぎやかなイメージにあやかって…

サザエ食品は1957年、函館・朝市の食堂としてスタートしました。

創業者・野村とみが漫画・サザエさんのにぎやかなイメージにあやかって名付けたのが社名の由来です。

おはぎの名店として道民に親しまれ、全盛期の1993年には年商100億円を突破し、全国に155店を構えましたが、業績が低迷。

2015年に石屋製菓の子会社として再スタートを切りました。

リブランディング戦略ではこれまでの人気商品がさらに進化しました。

進化した人気商品や、時代に合わせた新商品も開発! こだわりは目に見えないところにも…?

たとえば、代名詞のおはぎはこれまでの商品より1.3倍大きいものを考案。

創業者・野村とみがふるまっていたおはぎの特徴が大きさだったことから「とみのおはぎ」と命名しました。

時代に合わせた商品も新発売しました。

「スティックおはぎ」です。

(サザエ食品 石水創社長)「おはぎというのは食べづらい、紙のトレイにのせながら食べるというのが食べづらい。かといってスプーンやフォークで食べるのもちょっと違う。やっぱりワンハンドで食べやすく、おいしく食べる方法はないかということでできた商品です」

おはぎと並ぶ人気商品・えび天むすもバージョンアップしました。

(従業員)「ご飯にすべてタレが染み込んでいまして、白いご飯がないことが特徴となっておりまして」

これまでのえび天むすは、のりにタレを染み込ませるなどしていましたが、新商品では味付きご飯を使用。

どこを食べてもタレのうまみを感じられます。

(従業員)「食べ比べてみたいわという方もいらっしゃるので、今後が楽しみな商品となっております」

こだわったのは目に見える部分だけではありません。

大量に出るこの小豆の煮汁。

今までは活用方法がありませんでしたがー

(十勝製餡 竹市晃弥さん)「兄弟会社であるサザエ食品さんの方で、赤飯の色をつけるために、製餡場で出た煮汁を再活用して赤飯に色を付けることをしています」

その結果、天然由来の自然な色合いが特徴の商品に生まれ変わりました。

「リブランディング」は商品以外も 企業ロゴも「サザエ食品」らしい、新たな形に変化!

こちらの店舗は、リブランディング戦略後の1号店として11月1日にオープンしました。

新しい企業ロゴには、主力商品のおはぎの丸を「サ」の下に、おむすびの三角を「ザ」の下に取り入れたデザインに。

(購入客)「今の方がポップでおしゃれな感じがしていると思います」

(購入客)「ちゃんと元祖の味も守りつつ、つねにどんどん注目してもらうためにやっているのかな。すごくいい変化だと思います」

(サザエ食品 石水創社長)「営業的な成績でいうと、初年度は前年10%増を目指しています。3年後までには、いま年商が約40億円なんですけども、新しい工場がグループとしてできますので、それも踏まえて60億を目指してやっていきたいと思います」

2年前からリブランディングを始めた「千秋庵」 伝統商品が”新商品”に生まれ変わる!

道民にはすっかりおなじみ、千秋庵・山親爺のCMソング。

2024年3月に26年ぶりに新しくなりましたが、その千秋庵の「リブランディング」の代表格といったらー

およそ2年前に発売した「生ノースマン」です。

(千秋庵製菓 中西克彦社長)「生ノースマンはノースマンのリブランディングの象徴となる商品ですので、すべて北海道産の原材料にこだわっています」

あんこのみが入った通常のノースマンは、50年前に発売を開始した千秋庵の伝統商品です。

そこに生クリームを入れるにはある課題があったといいます。

(千秋庵製菓 中西克彦社長)「クリームの水分がパイ生地に移行する部分があったので、生ノースマンにおいては水分移行しても生地がしっかりとした風味をだしてもらえるように配合を変えて」

解決の決め手は道産小麦でした。

強力粉と薄力粉の配合を工夫することで、クリームを入れても破れない生地が完成したのです。

挑戦から1年たたずに営業黒字へ転換! はやり廃りが非常に激しい時代こそ、過去の商品をもう一度…

千秋庵によると、ノースマンのリブランディング前の2022年9月期の売り上げはおよそ9億7千万円で営業赤字でしたが、リブランディング後の23年6月期は12億3千万円に。

営業黒字への転換も実現しました。

(千秋庵製菓 中西克彦社長)「1か月あたりの平均売上で換算すると、リブランディング前とあとで前年比が170%になっています。はやり廃りが非常に激しい時代だからこそ、過去の商品にもう一度スポットを当てて、今のお客さまに喜んでいただけるような商品に改めてアップデートして販売をしていく」

老舗メーカーによるイメージの刷新を狙ったリブランディング戦略。

伝統をいかしつつ時代に合わせた新しさを生み出す取り組みが進んでいます。

最終更新日:2024年12月8日 7:54