DMAT医師が見た避難所 “1.5次避難” 県内も対応策を 《新潟》
いまだ多くの人が避難している石川県。県内からも災害派遣医療チーム「DMAT」のメンバーが支援に入っています。避難所の開設に携わった医師が現地で感じた課題とは。
地震から2週間。
石川県内では現在も1万8000人が避難生活を強いられています。
〈避難している人〉
「地震が来るたびにその子がめちゃ震えるんですよ。なんかそれを見ていたら…」
中には避難所には行かず、ビニールハウスに避難している住民も…
〈避難している人〉
「避難所に行った人もいるけど避難所の状況を聞いたら(人が)あふれて満杯で毛布も足りないという情報も聞いたもので」
いま心配されているのが避難している人たちの健康状態です。
〈新潟大学大学院 高橋昌特任教授〉
「介護介助の手が途絶えてしまっていること、それから医療の手が届いていないこと、そして1次避難所の生活環境が悪いということが災害関連健康被害につながっていると思います」
こう話すのは新潟大学大学院の高橋昌特任教授。
災害派遣医療チーム「DMAT」として1月5日から5日間、石川県の支援に入りました。
今回の地震で石川県内で亡くなったのは222人。このうち14人が震災後に亡くなった「災害関連死」とみられています。
そこで新たに国や石川県が設置したのが「1.5次避難所」です。
安全で生活環境の整った2次避難所へ移動するまで一時的に被災者を受け入れる場所ですが、高橋特任教授はある課題を感じていました。
〈新潟大学大学院 高橋昌特任教授〉
「介護や介助が必要な方が大勢そこにいると受け入れる準備が大変で、そうなると健康な方から避難してくださいというスタートになりがちで、今回もそういうスタートを切った。ただそうすると現地の復興とか現地に残っている高齢の方を支えている方にどうぞ来てくださいと1.5次避難所を作っても現実的にはなかなか被災地の負担を減らすことにはつながらない」
そこで高橋特任教授はまず介護や介助が必要な高齢者や体の不自由な人の避難を優先させるべきだと指摘したといいます。
〈新潟大学大学院 高橋昌特任教授〉
「人数を半分にしてもいいから要介護の人をこちらで介護しますという場所を作りましょうと提案して調整しました」
一方で住み慣れた地元を離れることもある1.5次避難や2次避難を望まない人も…
〈避難している人〉
「輪島に残る決心で家族3人でなんとかやっていこうと思う」
「地元できちんと後始末もしなきゃならないし事務処理もしなきゃならないし、できるだけこの近くで仮設住宅でもあったら早く(入りたい)。(地元から)出たくない」
石川県は2次避難所として約3万人分を確保していますが、1月16日時点で入ったのは1300人ほどにとどまっています。
高橋特任教授は県内でも具体的な対応策を考えておく必要があると訴えます。
〈新潟大学大学院 高橋昌特任教授〉
「被災地の中に残っている介護介助、あるいは病気を抱えている方が1番リスクが高いわけですので、そういった方からまず避難できるように計画を立てておくことが今後、新潟県内の大きな災害に備えるために必要ではないかと思います」
いざという時のために…
高橋特任教授は県の防災計画を見直しより柔軟に避難できるよう行政とともに災害時の医療体制を整えていきたいとしています。