×

【能登半島地震】20年前の地震経験を石川県の被災地へ 新潟県の「チーム中越」現地へ向かう《新潟》

2024年1月14日 9:55
【能登半島地震】20年前の地震経験を石川県の被災地へ 新潟県の「チーム中越」現地へ向かう《新潟》
チーム中越
能登半島地震の被災地・石川県を支援する新潟県内の団体があります。その団体は「チーム中越」。活動のきっかけは20年前に新潟県を襲った中越地震でした。石川県に向かった「チーム中越」。被災地では何が求められていたのでしょうか。

支援物資を積んで石川県へ

これまでの経験とネットワークを活かしたい。1月6日の長岡市。午前4時半に、1台の車がやってきました。被災地の支援を行う「チーム中越」の河内毅さんです。

チーム中越 河内毅さん
「非常食・災害食、それから野菜関係もありますし。あと水とかですね」

車一杯に乗せていたのは、県内の企業などから集めた災害食や水、そしてカイロなどです。これから地震で甚大な被害を受けた石川県に届けます。そして、もう一つの目的が。

チーム中越 河内毅さん
「まずは現地に行って状況を把握しながら、次はどんな支援ができるのかを確認して来るのが主な今回の目的ですかね」

中越地震の教訓を活かした支援を行う

20年前の2004年、最大震度7を観測した中越地震。68人が犠牲となり約10万人が避難を余儀なくされました。「チーム中越」は中越地震で得た経験や教訓を次の被災地へ伝えようと2008年に設立されました。

メンバーの一人、水澤元博さん。長岡市で電気工事会社を営んでいます。

チーム中越 水澤元博さん
「チーム中越は後方支援をします。被災地で頑張っている支援者のパートナーを見つけてきて、そこを中越から支援します」

トイレカーを開発した企業も参加

さらに、魚沼市の企業も駆けつけました。除雪車などの販売を手掛ける「ニットク」の荒井和孝さんです。ニットクは仮設トイレと軽トラックを組み合わせ、自走式のトイレカーを開発。被災地で役立てもらおうというのです。

ニットク 荒井和孝さん
「災害時のトイレって一番問題になっている中で、被災地のトイレ事情がどうなってるのかをもし見られれば、道路状況とかも見てこられればいいかと」

甚大な被害の石川県へ

午前5時、石川県に向けて出発です。休憩をはさみながら車を走らせること5時間。到着したのは能登半島にある穴水町です。

チーム中越 河内毅さん
「やっぱりひどいですよね。これから中に入って見ないと分からないですけど」

穴水町は震度6強を観測。家屋が相次いで倒壊し、今月9日午後2時時点で20人の死亡が確認されています。

チーム中越が訪れたのは穴水駅前に設けられた避難所。キャベツや大根と炊き出しに必要な食材などを届けます。避難所の運営を手伝っている浦野愛さんです。

避難所運営を手伝う 浦野愛さん
「野菜がなくなりかけたから、すごくいいタイミング。穴水は2007年の能登半島地震の時にずっと関わらせてもらっていて。でもあの時よりも本当にひどい」

浦野さんは被災地の復興を支援するNPO法人「レスキューストックヤード」に所属していて、地震から2日後に穴水町に入りました。全国の被災地を支援する中で、チーム中越の河内さんと一緒に活動することもあり、つながりができていました。

避難所運営を手伝う 浦野愛さん
「全国に心配してくれる仲間がいて、このように直接支援を届けていただけるのは非常に心強いと思います。ようやく民間で、車で物資を 置いていってくれる人たちも出てきました。でも水が通っていないから本当に何をするにも大変で」

「自走式トイレ」を紹介

チーム中越 水澤元博さん
「トイレどうしているの?」

避難所運営を手伝う 浦野愛さん
「トイレは簡易トイレをずっと使っています」

避難所は断水が続き、トイレが使えないといいます。トイレカーを開発したニットクの荒井さんが、力になれることはないかと商品を紹介します。

ニットク 荒井和孝さん
「軽トラックの荷台にトイレを乗っけた感じ」

避難所運営を手伝う 浦野愛さん
「これは色々な被災地で活躍していますよね」

さらに能登半島北部へ

被災地にどのようなサポートができるかを調査することが、チーム中越の今回の大きな目的です。調査結果は、防災に関係する企業や大学などが集まるプラットフォーム「にいがた防災ステーション」で共有し、支援の輪を広げることにしています。チーム中越はさらに能登半島の北部へ。

輪島市の火災現場

大規模な火災が発生した輪島市です。店舗や住宅など200棟以上が焼けたとみられています。

チーム中越 水澤元博さん
「いや、これはひどいな」

火災現場を目の当たりにしたチーム中越。ここでも現状を調査しようと市役所に向かいます。

チーム中越 河内毅さん
「お疲れ様です。休めてます?」

青年海外協力協会 堀田直揮さん
「休めてはいる。自分のベースキャンプはちゃんととったので」

輪島市に応援に入っている青年海外協力協会の堀田直揮さんです。チーム中越の河内さんも青年海外協力隊に所属していたことがありました。

青年海外協力協会 堀田直揮さん
「避難所としての機能がまだまだですけど、地域の方がいろいろ自治を始め出しているので、そこをサポートできればなと」

チーム中越 河内毅さん
「いい方向に流れ始めている感じですか」

青年海外協力協会 堀田直揮さん
「んー。でもまだまだですね」

市役所では、併設されたカフェが障がい者向けの一時的な避難所となっています。

青年海外協力協会 堀田直揮さん
「今までなかった物資が届きだしている。ここから先は、少し疲弊をしている人たちが休みながら、地域の方と一緒にどう立て直していくかを作り出していけるかどうかの時期になると思います。外からの支援も入れつつ、皆さんが元気になるように、どうできるかなと」

避難所へ物資を届ける

チーム中越はその後も物資を届けながら避難所を回りました。そしてニットクは、トイレカー2台を今月11日から石川県に貸し出すことが決まりました。

ニットク 荒井和孝さん
「仮設トイレも当然必要なんですけど、トイレも時代とともにどんどん変化していってますので。もっといいものという形でトイレカーが注目されています。自治体や様々な人がそういうものがあることを認知してもらうような形で、今後の活動を続けていきたいと思います」

約2500食を避難所へ

さらにこの日は、チーム中越の呼びかけで魚沼市に本社を置く「ホリカフーズ」も被災地に駆けつけました。災害食などの製造や販売を行っていて、今回約2500食分を避難所に届けるといいます。

ホリカフーズ 目黒智大さん
「弊社が災害食、あと治療食、介護食を扱っているということで。有事の際でも、必要とされる方が待っていらっしゃいますので、 何とかお届けしようという思いで来ました」

チーム中越 河内毅さん
「長岡が中越地震で大きな被災を受けてから、全国から支援を受けてますし、 そういった中で我々はいろいろと学ばせていただいたりしています。そういった知見の中で、お役に立つところはどんどんそれを他の被災地にも伝えていく。我々が学んだことを伝えていくっていうのが、逆に我々の使命と思っています」

甚大な被害を受け、多くの人が避難を余儀なくされている能登半島地震。その状況は20年前の中越地震と重なります。この先の復興に向け「チーム中越」の息の長い支援が始まりました。


2024年1月10日「夕方ワイド新潟一番」放送より