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【能登半島地震】ビジネスホテルやラーメン店も被害 新潟市西区の液状化 「ある特徴」が被害拡大させたか《新潟》

2024年1月13日 16:03
【能登半島地震】ビジネスホテルやラーメン店も被害 新潟市西区の液状化 「ある特徴」が被害拡大させたか《新潟》
液状化現象
能登半島地震により新潟市内で相次いでいる液状化現象の被害。一般住宅のほか、ホテルやラーメン店にも被害が出ています。専門家は今回の地震の「ある特徴」が被害を拡大させたと指摘します。

防犯カメラ映像 地震の後、水があふれ出す

2024年の年明けに起きた地震。最大震度6弱の揺れが県内を襲いました。これは新潟市西区に設置されていた防犯カメラの映像です。午後4時10分、地震の瞬間、大きく揺れ動く歩道橋や電線。駐車場では地面の一部が盛り上がり、亀裂が入りました。しばらくすると、あふれてきたのは、水。

地面から徐々に染み出し、道路はあっという間に泥水に浸ってしまいました。地震の揺れが液状化を誘発したのです。

亀裂や段差 泥水に浸かる車

地面が陥没し、溢れ出した水に浸かった車。道路は至るところで亀裂や段差ができ、住宅街には土砂が流れ込みました。こうした液状化の被害は新潟市西区に集中しています。

新潟市西区のビジネスホテルでは

新潟市西区にあるビジネスホテルです。

ホテル寺尾 勝島猛社長
「ここが普通に歩けていたはずなのにカクッて」

社長の勝島猛さんです。

今までなかった段差が

Qこの段差は今までなかった?

ホテル寺尾 勝島猛社長
「なかったです。ドアも開かなくなっちゃってるし」

建物に大きな被害

デコボコになった床に、開かなくなったドア。建物に大きな被害が出ていました。

ビジネスホテル寺尾 勝島猛社長
「どのくらいの規模になるのかわからないので被害額はわかりませんけど、損害保険やいろいろと電話しているんですけどね、まだわからないですね」

このまま営業できるのか

この日は地震から一夜あけた1月2日。宿泊の予約は4日から入っています。

物の被害に加えて、地震発生直後から続く断水。このまま2日後に営業を再開できるのか、勝島さんは葛藤していました。

ビジネスホテル寺尾 勝島猛・社長
「思い切って全部作り直すかと言ったらそうしたらまた何千万かかっちゃうし。どうしましょうかね、本当にね、どこも皆大変なんでしょうけども、困っちゃいましたね。予想だにしていなかったので」

液状化に弱い新潟市西区

新潟大学災害・復興科学研究所の卜部厚志教授です。新潟市西区は地形的に液状化に弱い地域だと指摘します。

新潟大学・卜部厚志教授
「新潟市内の中で液状化、最初にするならここ、というような地形や地質になっている」

液状化の危険度マップを見ると

こちらは北陸地方整備局が公開している液状化の危険度をまとめたマップです。川沿いなどが危険度の高い赤で示されています。

県道16号沿いは液状化がおきやすい

新潟市西区で撮影された映像をみてみると、歩道が大きく盛り上がり、住宅街では至るところから泥水が噴き出していました。卜部教授によりますと、西区を通る県道16号沿いは砂丘のすそ野にあたり、液状化が起きやすい地域だといいます。

新潟大学・卜部厚志教授
「1年間を通してずっと地下水がわいていて、なので砂丘の砂はさらさらしていて粒ぞろいの砂で地下水がわいているということは地面のところまで水に満たされているというところで。新潟市の中で一番液状化に弱い部分を狙い撃ちされたというか、被害が出た」

さらに、被害を拡大させた要因が。

地震動の長さが被害に影響か

新潟大学・卜部厚志教授
「震度5強は液状化をし始めるかしないかぎりぎりのライン、もっと低ければしない。地震動の長さが影響する。ゆっくり長く揺れている。揺れの時間が長ければ長いほど、たっぷり、そろーと、液状化をしてくる」

新潟市によりますと、地震によって住宅が被害を受けたとして市内では9日朝の時点で3930世帯(11日現在6847件)から、り災証明書の申請がありました。そのうち、液状化の被害が深刻な西区からの申請が7割程度を占めています。

ラーメン店でも

新潟市西区で半世紀近くにわたり営業するラーメン店です。駐車場には大きなヒビが。

建物に被害

建物も傾いたといいます。店の中を見せてもらうと壁には亀裂が。

「このままでは営業できない」

店主の母・大野さん
「ほらこんなになっているんですよ、びっくりしたわ」

Qこのままだと営業は?
「できないです、全部壊してやり直ししないと」

ゴマを使ったラーメンで人気を集めていた こちらの店。半年ほど前にリニューアルオープンしたばかりでした。

大野さん
「こんなになるとは思いませんでしたからね、(ため息)。何十年も続けさせていただきました。まだまだやりたいという気持ちはありますよね」

ホテルは営業再開へ

液状化で建物に被害が出たビジネスホテルです。3が日があけた1月4日。客室を点検する勝島社長の姿がありました。トイレの水が流れました。

勝島社長
「うん、使える。あとお湯がちゃんと出るか。昨日までは出ていなかったので。うん、お湯も問題なく出ますね」

断水が解消され、建物の応急措置も終わったことから、この日から営業を再開することになりました。

勝島社長
「はーい、いらっしゃいませ。ご迷惑をおかけしました」

何とか宿泊客を迎えることができました。

勝島社長
「いやぁほっとしました。まずは最低限部屋がお風呂トイレが使えて、ドアが問題なくてということがわかっただけで本当に」

「やめるわけにいかない」

一部を修繕して使い続けるのか、それとも建て直すのか。思い悩む日々だと言いますが、勝島さんは、父から受け継いだホテルをなんとか続けていきたいと話します。

勝島社長
「うちとしても働いている人たちに少しでも役に立てればという気持ちもあるので、簡単にやめましょうかなんて言えないなと母と話している」

地震の爪痕の大きさを物語る液状化の被害。住民の暮らしに影響が広がっています。


「夕方ワイド新潟一番」2024年1月9日放送より

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