【記者がみた法廷】「闇バイト」“ショッカー姿”で強盗未遂 報酬5万で罪を犯し「使い捨ての駒」に 法廷で明らかになった事件の背景 《新潟》
新潟市中央区の買い取り専門店に包丁を持って押し入り、店員を脅して現金を要求した罪に問われた20歳の男。
変装に選んだのは、あの黒ずくめの悪役キャラクターでした。
男が名古屋市から新潟市まで足を運び、犯行に及んだ理由とは…。
司法担当の長谷川サラ記者の報告です。
(長谷川記者)
「新潟市の買い取り専門店に強盗の目的で押し入った男の裁判が先日行われました。犯行のきっかけはいわゆる『闇バイト』。裁判を通じて事件の背景がみえてきました」
犯行に及んだのは名古屋市に住む長友龍斗被告・20歳。
ことし6月、新潟市中央区の買い取り専門店に包丁を持って押し入り、店員を脅して金を要求した強盗未遂の罪などに問われました。
(長谷川記者)
「犯行時の姿は黒づくめの格好が特徴のショッカー。しかも自宅は名古屋市。なぜ遠く離れた新潟市まで足を運び犯行に及んだのか…事件の背景を知りたいと思い、私は裁判を傍聴しました」
法廷でのやりとり…
長友被告の言葉から事件の経緯が明らかになりました。
弁護人)「闇バイトはどこで知った?」
長友被告)「X(エックス)」
弁護人)「強盗することはいつ認識した?」
長友被告)「買い取り店に到着する数十分前」
弁護人)「いくらもらえると聞いていた?」
長友被告)「5万円。いま考えると割に合わない」
弁護人)「指示役からどう言われた?」
長友被告)「『殺すぞ』と。『死ぬか、やるか』という脅し」
「ショッカー」の衣装も指示役から言われて用意。生活費や借金返済の資金を工面するためSNSを通じて「闇バイト」に応募した経緯などが明らかになりました。
検察側は懲役5年を求刑。
迎えた判決の日。長友被告には懲役3年・執行猶予5年、保護観察付きの判決が言い渡されました。
(内田キャスター)
「報酬は5万円。新潟市につくまで強盗を行うことを知らされないなど場当たり的に犯行に及んだ印象をうけますね」
(長谷川記者)
「はい。判決でもその点が指摘されています。こちらをご覧ください」
「被告人はいわば『使い捨ての駒』として犯行計画の全貌を知らされることのないまま氏名不詳者ら(指示役)が行う指示に従ったものと言える」
(長谷川記者)
「使い捨ての駒という言葉で闇バイトの悪質性を指摘しています」
(斎藤キャスター)
「判決が言い渡されたとき長友被告はどんな様子でしたか?」
(長谷川記者)
「体は少し震え、何度も何度も、深呼吸をしているように見えました」
(長谷川記者)
「裁判のなかで長友被告が「広汎性発達障害」の診断を受けていることも明らかになりました。裁判官が「二度と、罪を犯さないようにしてください」と諭すと長友被告はじっと前を見つめ、深くうなずいていました」
(斎藤キャスター)
「関東を中心に闇バイトを通じた強盗が多発していますが警視庁は闇バイトに関するこちらの専門ダイヤルも開設しているんですよね」
(長谷川記者)
「はい。犯罪の入り口となる闇バイト。「使い捨ての駒」になってしまう前に警察に相談することが大切だと今回の裁判を通じて感じました」