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【地震】被災した住宅の被害認定調査 やむを得ず再調査を見送る住民も 現行の制度「被害の実態に即していない」と専門家が指摘 《新潟》

2024年3月12日 20:09
【地震】被災した住宅の被害認定調査 やむを得ず再調査を見送る住民も 現行の制度「被害の実態に即していない」と専門家が指摘 《新潟》

元日の地震で被災した住宅を対象とした被害認定調査。
新潟市では判定を不服とする住民を対象に2次調査が始まっています。しかし、やむを得ず再調査の申請を見送る人も。専門家からは現行の制度が被害の実態に即していないとの指摘が上がっています。

地震の片付け作業に追われたこの2か月。

新潟市西区に住む牧野陽子さんです。

〈新潟市西区 牧野陽子さん〉
「私が嫁いできてからもう40年近くなるので、やはり思い出がいっぱいある」

盛り上がった床…。液状化や揺れの影響で扉が開かなくなり使えなくなった部屋も。
さらに、ガス・電気・水道といったライフラインも使用できなくなり、住むことは諦めました。

いまは、近くのアパートへ避難していて、今後同じ場所に家を立て直すか悩んでいると話します。

〈新潟市西区 牧野陽子さん〉
「自分の部屋片づけているときに涙が出てしまって、大声でわっと泣いてしまったんですけど、泣いていてもしょうがないなって。前向かなきゃって思って、それから泣くのをやめた」

公的な支援を受けるため必要な、り災証明書。
建物の被害認定調査に基づき「全壊」から「一部損壊」まで6段階で判定され、それにより支援の範囲が変わります。

牧野さんの住宅は「半壊」と判定されました。
半壊の場合、新築の購入や建て替え費用の支援は受けることができません。生活再建のための支援金も金額が大きく異なります。

〈牧野陽子さん〉
「私たちにしてみれば住み慣れたうちなのでこれで半壊かなって受け止めがなかなかできなかった」

判定結果に納得がいかない場合は2次調査の申請ができます。
新潟市には3月12日までに356件の申請が寄せられています。

1次調査では家の傾きなどの外観のみで判定が行われています。2次調査は、これに加え、床や天井などの家の中の被害状況も調査します。
新潟市によると調査対象が広がることで判定がより下がるケースもあるということです。

牧野さんも2次調査の申請を検討していました。ただ、「半壊」という判定をやむを得ず受け入れたといいます。

〈新潟市西区 牧野陽子さん〉
「もしかしたら半壊も取り消しになるかもしれないっていう話もあったので、国の税金で賄うわけなので厳しいところがあって当然かもしれませんが、被災した私たちにとっては厳しすぎるかなと思ってます」

新潟市西区を中心に相次いだ液状化の被害。
専門家は液状化の被害認定の基準が被害の実態に即していないと指摘します。

〈新潟大学 災害・復興科学研究所 卜部厚志教授〉
「建物の傾きの調査のフロー(手順)があって、もうひとつ液状化のメニューの方のフロー(手順)があって、そっちにフロー(手順)に入ると、いきなり床上1メートルまで家が砂に埋まっていることみたいな基準が“全壊”になるのでそんな家ないよねというところから、国の基準が液状化のことが“ちょっとあれっ?”という感じであまり考えられていない」

液状化による被害の大きさが浮き彫りになった今回の地震。
支援の在り方が問われています。