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「最上級の挑戦 未知なる世界を見に」世界トップクラスの登山家 平出和也さん 世界第2の高峰8611mの最難関「K2」へ 酸素濃度は地上の3分の1 中島健郎さんと未踏西壁から酸素ボンベなしで挑む

2024年5月30日 19:00
「最上級の挑戦 未知なる世界を見に」世界トップクラスの登山家 平出和也さん  世界第2の高峰8611mの最難関「K2」へ  酸素濃度は地上の3分の1  中島健郎さんと未踏西壁から酸素ボンベなしで挑む

富士見町出身で世界トップクラスの登山家平出和也さんが世界第2の高峰で最難関の山、K2に未踏の壁から挑みます。

平出和也さん
「きょう登るお山は家からよく見えるあそこ!」
妻:尚子さん
「なんだっけ?」
長男:志尽くん
「えーと、麦わら帽子山!」

まだ幼かった2人の兄妹も…ずいぶん大きくなりました。

富士見町出身の登山家平出和也さん家族。子どもの日を前に…。

平出さん
「みんなで頑張るぞ―!おーっ」

家族で登る初めての八ヶ岳。一泊二日の山旅です。

平出さん
「やさしい道を選んであげているつもりなのに全然…逆の方向を選ぶんだよね」

途中、おやつ休憩をはさみながら3時間。

実家から望む編笠山。2524メートルの頂上を目指します。

世界トップクラスの登山家。平出和也さん。これまで7000~8000メートル峰17座を登頂。誰も踏み入ったことがない未踏のルートから頂に立ってきました。

その功績は世界で認められ登山界のアカデミー賞「ピオレドール賞」を日本人初、3度受賞しています。長年のパートナー中島健郎さんと組むアルパインスタイル。

ヘルメットに装着したカメラやドローンでその行程を記録する山岳カメラマンでもあります。

その映像は山々の荘厳な世界を。一方、牙をむく自然の猛威――。

その挑戦が命と隣り合わせという瞬間をも記録してきました。

長女:如野ちゃん
「♪トットロ、トットロ、トットロトット―ロ」

歌も会話も弾み辿り着いた編笠山頂上です。
平出さん
「知らないうちに子供は成長しますね」

Q.同じ頂上ですけど家族で登る頂上と中島健郎さんとの頂上では違う?

平出さん
「そうですね。気を使いますね。こっちの方が気を使いますね。こっち2人いるから…」

2か月後にはまた新たな挑戦に向かいます。6年前に偵察した世界第2の高峰ーーー。

パキスタン北部標高8611メートルのK2です

8000メートル級の山域では酸素濃度が地上の3分の1。天候が極めて不安定でその険しさから「非情の山」と呼ばれています。平出さんたちはこの山の西側、岩と氷に覆われたほぼ垂直な未踏の西壁から挑みます。

家族で初めて泊まる山小屋です。みんなで疲れをほぐします。

これまでの挑戦で足の指5本を凍傷によって失っています。

平出さん
「あっという間に20年を超えてヒマラヤに登ってきていますけれども、いろいろなことがあったなって思いますよね、それだけ長く登ってきているんだと思うんですよね、でもこうやってちゃんと生きて帰ってきているし、指はちょっと失ったけど生きて帰ってきているんで、こうやって家族とも登山できているし」

「K2はこれまでより標高が高いし壁も大きいしというところでいくと、どこか最上級の挑戦になるという感覚はどこかあります。でもそれに行くために準備してきた数々のこれまでの山というのがそこにつながっていると思っているのでそれを考えると登り返しているわけじゃなくて登り続けている感覚があってこれまで登ってきた山の先にまだ到達していない未踏の未知なる世界を見に行こうという感覚ではあって。僕の登山人生のこれまでの積み重ねの中の延長という感覚というイメージですかね」

志尽くん「おいしく楽しくいただきましょう。いただきます」

自身、「最上級」という挑戦を前にした最愛の家族とのひと時。

出発まで2週間と迫ったこの日再び故郷へ。入笠山です。

平出さん
「どこか限界を超えないと僕たちの登山は成功しないんですよね、だから守られた環境での冒険というのはやっていなくてリスクはもちろんあるんですけどでも決して命はかけていなくて」

トレーニング、そしてある目的が…。

平出さん
「いい天気だ。一望ですね八ヶ岳も地元の富士見町も眼下に見えていますね。心を穏やかにしてくれる山。でも良かったですね、やっと出発できるなって感じですね」

あす31日出国予定。高地への順応を経て 7月、K2に未踏ルートから挑みます。