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信州の人気ワンコインランチ 500円に込める店主の思いとは【長野】

2024年10月14日 18:16
信州の人気ワンコインランチ 500円に込める店主の思いとは【長野】

木下歌織キャスター
「物価が高騰する中、ランチにかける予算はどのように変化しているのでしょうか」

街の人は
「しょうがないかな、500円とかですんでいた時代ですけれど、1000円はしょうがないって感じです。」
「ランチだいたい700円ぐらいですね。」
「お弁当派なんですけれど結構(予算)上がるなみたいなのは、300円とか、でも買うよりはやっぱり作ったりとか、お茶とか持ってたりとか水筒持っていったりとか」

平日、お店で食べるランチの予算。首都圏など都市部で調べたデータによると、その額は、平均1243円。値上げの影響もあって年々増加していて、3年前に比べると140円もアップしています。

そんな物価高にも負けず、500円=ワンコインでランチを提供し続けている店があります。

JR長野駅にほど近い「チャイニーズキッチン桃莉」。
お昼時の店内は会社員を中心に賑わいます。そのほとんどの人が食べていたのが…、こちらのマーボー丼。ザーサイやスープ、杏仁豆腐までついて税込み500円、ワンコインです!

木下キャスター
「うーん、山椒のピリリとした辛さが後からじわじわきますね。そして豆腐がトロトロ、これはもうご飯が進みます」

腕を振るうのはこの道45年のベテラン富田総充さん。トウバンジャンやテンメンジャンなど「ジャン」と呼ばれる調味料を複数使ったコク深さが特徴のマーボー丼。客のおよそ7割、多いときには9割が注文するという不動の人気メニューです。

客は
「月に3回か4回は(来店)」「安いですね、どこへ行っても500円はないので」

メニューに登場したのは店がオープンした2009年。当初はオープン記念で500円、期間限定メニューだったといいますが…。

チャイニーズキッチン桃莉 富田総充さん
「2週間でやめるのが…最初の考えだったんですよ。人気が出ちゃってやめるにやめられなくなって、そのままずるずるとやっています。」

2度の増税や相次ぐ物価高の波にも負けず15年間、値段はそのまま。店は夫婦2人で切り盛りし、調味料は、可能な限り手作り。安くて良質な食材を探し歩くなど地道な努力も欠かしません。

客は
「安さもありますけど、やっぱりこのボリューム感。500円プラス100円で中盛りで、大盛で(プラス)200円」

木下キャスター
「こちらが通常のマーボー丼。そしてこちらが+200円の大盛です。器の大きさはもちろん、深さもこれだけあるんですよ。お米だけでなんと1キロ。ボリューム感ありますよね」

この量でも、700円。そこには客への思いがあります。

富田総充さん
「コンビニで食事を買っても、今はやっぱり500円じゃきかないので。下手すれば1週間まるまるお越しになる方もおられます。お給料も上がらないし、物価だけ高くなって、こういう店もあるんだと思って一安心してもらって、話のタネにでもなればよろしいんじゃないでしょうかね」

こちらは、60年愛され続ける老舗レストラン、小諸市の「ファミリーレストラン 八億」。元々、焼き肉店だったこともありカルビ焼肉ランチも人気メニューの一つですが、それをも凌ぐ一番人気が「日替わりAランチ」ワンコイン500円です!

髙山ディレクター
「メインのおかずとご飯とお味噌汁が付いて500円です。ひと切れがこんなに大きいですよ。お肉も柔らかくて、自家製のデミグラスソースが、チキンカツに合いますね」

20年以上前に始めた店の看板メニューです。

ファミリーレストラン八億 宮本光慶社長
「20年ほど前、当時コンビニの弁当は500円を切っていたんです、480円ぐらいで。営業マンの方がエアコンの無い車の中で(弁当を)食べているのを見て、車の中で食べなければいけない状況を我々がつくってはいけないなと、それで税込みで500円という日替わりランチを始めました。」

メインのおかずは生姜焼きや唐揚げなどおよそ30種類のレパートリー。常連客はその日の日替わりメニューを楽しみに、訪れます。

客は
「仕事が早く終わった時は、必ず寄るようにしていますね。安くてボリュームもあって、この辺でもちょっと500円で食べられる所はないと思います。」

宮本光慶社長
「日々の努力しかないんですよね。あちこち、週に2回ぐらい安い所を回って、安い時に大量に買い付けてそういう方法しかないですよね。」

材料の値上がりにも負けず20年間続ける思いとは…。

宮本光慶社長
「お客様に愛される、特に地域の人に愛される店づくりということで、これからあと10年20年30年と続けていければいいなと思います」

店の工夫と努力によって続けられるワンコインランチ。うれしい味方です。