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老舗温泉旅館「長栄館」閉館 どうなる鶯宿温泉 岩手・雫石町

2024年6月25日 18:36
老舗温泉旅館「長栄館」閉館 どうなる鶯宿温泉 岩手・雫石町

6月15日、岩手県雫石町の鶯宿温泉にある老舗旅館「長栄館」が閉館しました。歴史ある鶯宿温泉の中心的な宿が閉館し、温泉街の今後が懸念されています。現地を取材しました。

記者「鶯宿川沿いに温泉宿が立ち並ぶ雫石町の鶯宿温泉。以前は賑わっていましたが、現在は廃業した旅館が点在しています」

創業70年を超える老舗旅館「長栄館」が営業を停止しました。コロナ過の影響などで赤字経営が続き、ことし2月、盛岡地裁から破産手続き開始の決定を受けました。譲渡先を探していますが、見つかっていません。

宿泊客
「涙で別れてきた。本当に元気でまたどこかで会おうねって言ったけれども」「くやしい…なんでこんなことになったのか」

しずくいし観光協会 高橋基事務局長
「鶯宿温泉のキャパ自体も減ることになるので、これからの団体客の受け入れなどに影響が出てくるのではないかと心配している」

開湯450年の歴史がある鶯宿温泉。その昔、1羽の鶯が温泉で傷を癒していたことから「鶯宿」と名付けられたといわれています。しかし、施設の老朽化などで、50年ほど前(S50年代)のピーク時に32軒あった温泉宿が、昨年度時点で16軒に半減しました。

湯治客(入込)は2003年には年間のべ86万人いましたが、2019年は25万人ほど。コロナ禍で12万人まで減り、去年も多少持ち直したものの18万8000人にとどまりました。特に小さな宿で落ち込みが深刻です。

長栄館の閉館前から再生が必要だった鶯宿温泉を何とかしようと、町は「スポーツツーリズム」の推進を進めてきました。こちらは、小学校の跡地を活用して去年4月にオープンした「いわて雫石アーチェリーセンター」。

町内には野球場やクロスカントリースキーの施設などもあり、合宿や試合で鶯宿温泉の利用促進を図ろうと考えています。

今後、長栄館に泊まっていた宿泊客は小さな宿に分散させて対応し、スホ゜ーツツーリズムにさらに力を入れる事で、温泉街のピンチを乗り切りたいということです。

しずくいし観光協会 高橋基事務局長
「スポーツ合宿での利用を広めたいと思っていて、合宿助成などで沢山の人を呼び込む取組みをしている。今ある資源を生かしつつ、新しい魅力を打ち出していければもっとお客さんを呼べる可能性があると思っている」

観光協会では今後、町や温泉街の人たちと話し合いながら取り組みを強化し、歴史ある鶯宿温泉の再生を図っていくことにしています。