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1000年以上続く天下の奇祭「黒石寺蘇民祭」来年が最後の開催

2023年12月5日 18:07
1000年以上続く天下の奇祭「黒石寺蘇民祭」来年が最後の開催

1000年以上続くとされる「天下の奇祭」、奥州市の「黒石寺蘇民祭」が関係者の高齢化と担い手の不足を理由に来年を最後に歴史に幕を閉じることが発表されました。

5日午前、会見を開いた黒石寺の藤波大吾住職。

妙見山黒石寺 藤波大吾住職
「祭りの中心を担っている関係者の高齢化、将来的な担い手不足により祭り自体をこれまでの形で維持していくことがかなり困難な状況になっている」

旧正月の日に五穀豊穣などを願い、夜通し行われる「黒石寺蘇民祭」。

下帯姿の男たちは、真冬の凍えるような川の水で身を清めたり…。
火の粉を浴びたりしながら気勢をあげます。

そして、祭りのクライマックスは、夜明けまで続く「蘇民袋」の争奪戦。
「蘇民袋」を奪った者の土地は、五穀豊穣が約束されるといわれ、男たちは3時間にも及ぶ激しい奪い合いを繰り広げます。そして、この祭りが一躍全国の注目を集めたのが…。

荒々しい男衆がポーズをとって祭りをPRする2008年当時のポスター。不快感を与えるおそれがあるとしてJRが駅への掲示を断ったことで、多くのマスコミが取り上げました。

妙見山黒石寺 藤波大吾住職
「派手な部分がクローズアップされるが、祭りの内側の部分、かなり多くの儀式、準備があります。閉鎖的と捉えられるかもしれませんが、(地域の中で)出来る人は限られている。出来る人がいなくなると祭りとして違うものになってしまう」

長年、祭りに参加し、保存に力を入れてきた人は…。

黒石寺蘇民祭保存協力会青年部 菊地 敏明部長
「非常にさびしくもあり、残念でもあるが、かたちを変えてでも残していけるかとか今後先の事をこれからだが、話し合っていきたいという最中」

県内の多くのまつりが担い手の不足に悩んでいます。

岩手県 文化財課長佐藤 淳一さん
「しっかりとできることを、記録するなら記録する、補助するなら補助する今できることをがんばってやっていければ」

来年2月17日の最後の蘇民祭は午後11時までの短縮開催となります。そして、再来年以降、祭りは実施せず、祈祷などを行うだけとなります。