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ニューヨークタイムズに盛岡の魅力伝えたクレイグ・モドさん 「日本を歩いて旅する理由」を本に 盛岡との絆を一層深める 岩手県

2024年11月26日 18:55
ニューヨークタイムズに盛岡の魅力伝えたクレイグ・モドさん 「日本を歩いて旅する理由」を本に 盛岡との絆を一層深める 岩手県

 2023年、ニューヨークタイムズ紙で盛岡の魅力を世界に伝えたクレイグ・モドさんの話題です。実はモドさん、「日本を歩いて旅する理由」をテーマにしたこちらの本を書いて、25日に全国で販売が始まったんですが、本を出版したのは「盛岡の書店」なんです。盛岡との絆を一層深めている姿を取材しました。

 江口アミアナウンサー
「小さなお椀に盛られたわんこそばが食べ放題の店と世界に紹介された、東家本店です。まもなくクレイグ・モドさんがやってきます」

 モドさんを出迎えたのは、東家を営む馬場暁彦さんです。

 クレイグ・モドさん
「そばタイム!」

 注文したのは鳥のつくね揚げを卵でとじた「金柑丼」。大のお気に入りだそうで、ずいぶん慣れた様子でほおばっていました。

「(Q盛岡何回目くらい?)5回目?6回目?7回目?6回目?6回目くらいかな」

 ニューヨークタイムズへの記事掲載からもうすぐ2年。モドさんはたびたび盛岡を訪れ、街の人との親交を深めているんです。

 馬場さんは盛岡に来ると必ず会う仲で、古くからの友人のような存在です。

 モドさん
「やっぱり(3年前)最初に来た時に、盛岡ちょっと特別だなって思って。最初に来た日は3時間しかいなかったんだけど、なんか特別だなって思って、だから戻ってきてゆっくりした。やっぱりその時も、いまでも、市民で街の魂が生まれている」

 アメリカ出身のクレイグ・モドさんは、幼いころから興味があった日本の文化や言語を学ぶため24年前に早稲田大学に留学しました。そのまま日本に移住し、現在は神奈川県の鎌倉を拠点に執筆活動をしています。

 作家で写真家、そしてもう一つの顔が…。

 モドさん
「ウォーカーですね…歩く人」「ロングウィーク、長い歩きにするときには、実はルールがあるんですよ、スマホ見ちゃいけない、ニュース読んじゃいけない、SNS使っちゃいけない」「だから歩きながらできるだけそういう空白のスペースとか、頭の中のね、ちょっとつまんない、つまんない部分を守る事は、すごく大事だと思って、それでやっぱり気づきが変わる」

 3年前、盛岡を歩いたとき、美しい自然が街に溶け込み、いい喫茶店があり、世代を超えて受け継がれる店が多い。そう感じて、魅了されたモドさん。

 ニューヨークタイムズの編集者から「2023年に行くべき52か所」に推薦する街を聞かれ、迷わず「盛岡」と答えて記事を書くと、ロンドンに次ぐ2番目に掲載されました。

 東家の馬場さんは、記事掲載を千載一遇のチャンスととらえ、すぐさまモドさんと連絡をとり、盛岡に呼びました。以来、何度も会う仲になりました。

 東家 馬場暁彦さん
「コロナの間かなりしんどい時期を相当過ごしたので、本当にこれはやばいなっていう状況からのニューヨークタイムズだったから」「盛岡を大いにバズらしてくれたっていうのは本当に感謝してもしきれない感じですね」

 県内経済を調査する会社によりますと、記事の影響で、昨年度、県内を訪れた外国人観光客はコロナ禍前より6万人多く、経済波及効果は98億円以上と試算されています。

 すべての出発点ともいえるモドさんの「ウォーキング」。盛岡に来る前の2019年には、東京から京都までと、三重県の伊勢路およそ1000キロを歩きました。

 郊外の街や農村、そして大好きな喫茶店を巡り、地域の人とふれあったことを文章と写真で一冊にまとめたのが、25日から全国で販売が始まった本「KISSA BY KISSA 路上と喫茶-僕が日本を歩いて旅する理由」です。4年前に出版した英語版を日本語に訳し、独自のあとがきを追加しました。

 念願だった日本語版を出版したのは、英語で「本オタク」を意味する盛岡の書店「ブックナード」です。モドさんがニューヨークタイムズで紹介したのがきっかけで、ずっと交流を続けてきました。

 オーナー 早坂大輔さん
「どうしてモドさんの本だそうって」モド「しつこく頼んじゃった」「まあ本をだしたいって言われて」
「我々、盛岡に住んでいる人間たちにとってたくさんのギフトをくれたんで、それをこういった形で、お返し出来たらいいなという気持ちと、彼が書いた本が本当に素晴らしかったので」「彼のライフヒストリーも旅の中で描かれていて、そういった面もいろんな切り口で楽しんでいただけると思います」

 盛岡と出会わなければ、出版されなかったかもしれません。本にはモドさんの知られざる生い立ちも書かれていて、モドさんのことをより深く知ることができます。

 23日に盛岡で開かれた出版記念イベント。モドさんは、盛岡の人たちが本に関心を持ってくれるか心配していました。

「こんにちは~うれしいですね本当に」

 会場は満員でした。

 盛岡を世界に紹介してくれたモドさん。彼が書いた本が、今度は盛岡から全国に羽ばたきます。

 クレイグ・モドさん
「ぜひ読んでいただいてる方々がもうこれをねちょっとヒントとして自分も盛岡から出発しよう、歩く旅に出かけようと思ってくれたら素晴らしい」

 モドさんの盛岡への愛着は深まるばかりです。

最終更新日:2024年11月26日 18:55