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地域おこし協力隊員は「イラストレーター」 大自然に囲まれた久慈市山根地区の魅力をアートで発信 岩手県

2024年6月14日 17:47
地域おこし協力隊員は「イラストレーター」 大自然に囲まれた久慈市山根地区の魅力をアートで発信 岩手県

 地域おこし協力隊の特集です。大自然に囲まれた久慈市山根地区をアートで盛り上げるイラストレーターの協力隊員です。

 久慈市地域おこし協力隊 朝比奈つとむさん(27)
「絵を活かせる協力隊だったので来たってのも大っきいです」

 清らかな長内川が流れる、久慈市山根。川の畔に建つのは、築100年を超える 古民家をリノベーションした『カフェ ソラマメ』です。その隣りに 2024年4月、新たに ギャラリーが誕生しました。久慈市の 地域おこし協力隊、「朝比奈 つとむ」さんのアトリエ兼ギャラリーです。

 朝比奈さん
「久慈は企画提案型って言って、それぞれ自分がやりたい事ができるんですけど、あまり企画提案型っていうのは少ないかなと思います。はい」

 一関市出身の朝比奈さんは、東京・八王子の専門学校でマンガやアニメーションを学びました。その後は イラストレーターとして活動していましたが、2023年の3月、転機が訪れます。初めて来た「山根」の風景に魅了されて、協力隊へ応募。2023年8月に、久慈市の「地域おこし協力隊」として 着任しました。

 朝比奈さん
「山根は本当、ただただシンプルな自然、大自然で山と川と、あと夜は星空がきれいに見られる魅力的な所で、そこで絵を描きたいなと思えるような場所でした」

 着任してからは、イベントポスターの制作や、様々なイベントに参加して、イラストの力で地域を盛り上げています。この日、朝比奈さんは、山根の市民センターを訪ねました。

 朝比奈さん
「日誌を提出に来ました」

 協力隊の 活動内容を、定期的に 報告します。着任から10か月。すっかり「山根」に、溶け込んでいるようです。

 久慈市山根市民センター 中川原将洋さん
「アートが得意だっていうことで、その能力を生かして山根の魅力とかPRしてってもらえるとすごく市民センターとしてもありがたいかなと思っておりました。」

 朝比奈さん
「またよろしくお願いします。」

 期待を寄せているのは、市の職員だけでは ありません。

 cafe soramame 佐々木智子さん
「失礼しま~す。お待たせしました…」

 隣の「cafe soramame」の店長 の佐々木さんは、心強く 感じています。

 cafe soramame 佐々木智子さん
「いやでも、うれしかったです。なんかずっとこう…1人でっていうか山根で頑張ってやってきたので、そこにこう若い仲間というか息子ぐらいの年の子が来てくれて相棒ができたなって(笑)…感じですね。」

 朝比奈さんの 原点とも言える場所。2023年3月に初めて訪れた「山根農楽(やまねのうらく)」。移住のきっかけとなった牛農家さんのもとで、週に4~5日協力隊の活動とは別に、牛の お世話をしています。

 朝比奈さん
「山根っていうのは昔、米とか塩とか…を牛を使ってみんな運んでたんで、ただ絵を描くだけでなく実際にその山根の文化を肌で感じて描く絵っていうのは、違うんじゃないかなと思って、お手伝いさせてもらってます。絵に活かせると思って」

 朝比奈さんは、活動の幅も 広げています。

 2023年6月にオープンした店のロゴマークをデザインしました。喫茶店だった店を、レンタルスペースを兼ねたカフェへリノベーションした「ユベントス」。依頼したきっかけは、開店祝いにもらった朝比奈さんの絵でした。

 ユベントス 馬内広斗さん(25)
「なんか自分…正直絵にもそこまで興味がなかったんですけど、朝比奈つとむさんの絵を見て、すごいグッと引き込まれる感じがあって、これすごいなと思って。最初見た時の絵の衝撃とか何かそういった部分…を、いい感じに作ってくれるんじゃないかなという想いがすごくあって、それでロゴお願いしました」

 朝比奈さんに新たな依頼が 舞い込みました。それは、今度リノベーションする店の2階部分のデザインです。

 ユベントス 馬内広斗さん(25)
「2階は、その学生が集まれる場所にしたいなと思っていまして、全体的な空間デザインの所をチョットお願いして、得意の絵も使ってもらって、つとむさんらしい2階になればいいなって思ってます」

 朝比奈さん
「人が集まりやすい空間、そして、また来たいなと思える拠り所になるような、安心する空間にしていきたいなと思っています」

 朝比奈さんには、手掛けている事が もうひとつ。ギャラリーにある、一番大きな イラストを 完成させることです。山根への愛情があふれた、渾身の作品です。

 朝比奈さん
「お隣の"カフェ ソラマメ"さんで出してる山根の郷土食の"うきうきだんご"と、あと山根の何かオリジナルコーヒーがあるんですけど、その"ナナマルニ コーヒー"さんのコーヒーカップをみんな、キャラクターが持ってるんですけど。来た時に自分がこう伝えたいなという山根の魅力を詰め込みました」

 アトリエ兼ギャラリーの オープンで、朝比奈さんに新たな夢が 芽生えました。

 朝比奈さん
「僕の絵がきっかけで、いろんな所から山根に人が来てもらいたい…というのと、山根のテーマにした作品をたくさん作って、いずれはそれをイラスト本みたいな、本を作りたいなと思ってます」

 大自然に魅了されて移住した山根での 人々とのつながり。イラストで 地域の魅力を発信する協力隊として、朝比奈さんはきょうも筆を 走らせます。