【挑戦】空き家を改修 ゲストハウスで町を元気に 若者たちが奮闘 岩手・西和賀町
特集です。今月は様々な挑戦をシリーズで紹介します。1回目は西和賀町が舞台です。「ゲストハウス」で町に新たな価値を生み出そうと奮闘する若者たちを取材しました。
冬の足音が聞こえ始めた西和賀町の錦秋湖。この湖のほとりの空き家を改修し、ゲストハウスとして再利用を目指す人がいます。
瀬川然さんです。西和賀町出身の瀬川さんは町内で、自然体験ツアーを主催するほか、カフェを営んでいます。生まれ育った地元の変化を目の当たりにしてきました。
瀬川然さん
「西和賀町は過疎高齢化も岩手で最も進んでいる地域で、なかなか町に仕事を作るって結構難しいことだなって痛感していたんですけども、商店がなくなったりとかですね、それがどんどん加速しているなという印象はあります」
かつては温泉地として栄えていましたが、加盟宿泊施設はここ10年で8軒減り、現在は16軒ほどに。瀬川さんは地元、西和賀を盛り上げるため自分に何ができるか日々考え、行動してきました。
瀬川然さん
「地域が持続というかしていくためには何が必要かと自分なりに考えた時に、最終的に自分の頭で考えて、行動に移せる人がどれだけ地域の中にいるのかってのは結構大事なことだなという風に思っていたので、自分の頭で考えて、土地にあるものを使って仕事を作るところからまず始めて行かなければいけないんじゃないかなと思って、ネイチャーツアーガイドを始めました」
その後、錦秋湖が眺められる自宅の一画をリノベーションして「ネビラキカフェ」をオープンさせました。さらに瀬川さんは現在、カフェの近くの空き家を購入し、ゲストハウスの改修を進めています。
瀬川然さん
「一棟貸しの宿にするつもりではいるんですけれども、とりあえず予算の関係で一部屋だけリノベーションして、ここを泊まれる場所にして、滞在できる空間にしようかなと思ってやってました。一番はこの景色ではあるとはおもうんですけれども、すごいシンプルな創りにしてあって、自分と向き合うをコンセプトにしている」
部屋は完成し、現在は玄関周りの補修について打ち合わせを重ねている段階。米沢工務所の代表、米澤さんは瀬川さんの描くビジョンを次々と具現化していきます。
「こんな感じに・・・」「あぁ、なるほど。ドアというかそこはもうはめ殺しというか埋めちゃうってことですよね?」「そう、そうですね」
瀬川然さん
「自分たちが求める理想の部屋を考えた時に、米澤さんしかいないと思って、それで依頼をしたというか」
米澤さん
「できるだけ古いものを残したいっていうのと、壁とか天井を白くするという事は最初のうちに決まっていたので、その中にこの古い柱があるとすごい際立つというか、いい感じに見えるんだろうなと考えてました」
構想から6年、協力者に支えられて瀬川さんのゲストハウスは2025年春オープン予定です。
そんな瀬川さんと西和賀が活性化する場所を作りたいと、10年以上活動している森陽平さんです。東京都出身で元地域おこし協力隊の森さんは西和賀に移住。演劇作家で演劇指導者でもあることから、2012年以降、西和賀にアーティストを呼び、合宿を行う活動をしてきました。
森陽平さん
「どういうところに地域の課題があるのかなということを、地域おこし協力隊で町がなくなるみたいなことを結構町の中がざわついていたので、何ができるかなってことで若い世代はどういうことを考えているんだろうと」
模索する中でたどり着いた一つの答えがゲストハウスでした。森さんの自宅兼ゲストハウス「てくてく」は2024年8月にオープン。1階はキッチンなどの共有スペース、2階に和室と洋室が合わせて4部屋あります。
森陽平さん
「本当にいろんな人たち、それこそ作家さんでちょっと集中して本を書きたいとか、あとはまあワーケーションだったりとか、少しこうリモートワーク的に使いたいって人にもこちらの部屋を使ってもらって、のこってもらっても構わないしって事で考えてますね」
現在こちらでは、地域おこし協力隊のインターン制度を利用して町内で働く森木さんが利用中です。西和賀の印象は?
利用者
「本当に朝寒くて、もうびっくりするぐらいというか、灯油ストーブを使うのも初めてで、家の中で出す息が白い何事?みたいな感じなんですけど、その寒さと人の温かさっていうのが、すごい今一番印象に残っています」
「Q、また来たいですか?」
「はい、また来ます。雪あかりの時に。友達を連れてきます」
町の魅力が少しずつ広がっていく。これは2人が目指す、西和賀の未来なのかもしれません。
森陽平さん
「ここでは好きなことができるっていう、やっぱり秘境とか隠れ家的な。やりたいことのある人がやりたいことをやれる場所っていう風になっていくかなって思いますね」
瀬川然さん
「自分の本当にやりたいこととか、もう一回思い出すみたいな。なんかそういう場所になれたら西和賀ってすごく輝くと個人的には思っている」
「西和賀にまた行きたい」。そう思える町づくりのため、瀬川さんたちの挑戦は続きます。