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<YBCアンケート特集>国スポは存続すべきか、否か…費用と自治体の負担大きく運営手法に議論の余地も

2024年4月19日 17:59
<YBCアンケート特集>国スポは存続すべきか、否か…費用と自治体の負担大きく運営手法に議論の余地も

かつて「国体」と呼ばれた国民スポーツ大会・通称「国スポ」を巡り、今、自治体の負担が大きいとして廃止論も浮上するなど大会の在り方が問われています。県内ではことし2月に国スポの冬季大会が開催されました。大会に携わった自治体や選手たちはこの問題をどう捉えているのか、そして視聴者の皆さんの声も聞きました。

国スポは、国民体育大会・通称「国体」として1946年に始まりました。毎年、年に2回開催され、秋に実施される本大会は、開催地が各都道府県で持ち回りとなっています。県内では1952年、そして1992年にべにばな国体が開催されています。

秋の本大会の開催には、競技会場の整備などの設備投資などで100億円以上の開催費用が見込まれるケースもあるといいます。4月8日、全国知事会の会長を務める宮城県の村井知事は国スポについて、費用負担の大きさを理由に「廃止も一つの考え方」と発言しました。

これに対し吉村知事は17日、「存続すべき」との考えを示しました。

吉村知事「県代表選手の活躍は県民に勇気と感動を与えてくれる。毎年度、持続可能な大会として開催されることが望ましいと考えている」

一方、吉村知事は今後も存続させるためには、地方自治体の負担の軽減を検討すべきとしています。

このように今後の在り方が問われている「国スポ」ですが、番組では視聴者の皆さんに国スポを「存続すべき」か「廃止すべき」か、YBCアプリでアンケートを行いました。1284人の方に回答いただきました。たくさんのご回答ありがとうございました。

その結果がこちらです。「存続すべき」が900人、「廃止すべき」が384人と7割の方が「存続すべき」、3割の方が「廃止すべき」と回答しました。

皆さんから寄せられた声を紹介します。まずは「存続すべき」と回答した方は。

「アスリートにとって県代表としての目標の一つ」
「頑張っている人達がいる限り成果を発揮できるところがあった方が良い」
「大きな大会に参加することで、選手の精神力や競技力向上の為に必要だと思う」

一方、「廃止すべき」と回答した方は。

「自治体の費用負担の大きさを考えたら廃止にした方が良い」
「それぞれの種目で全国大会も行っているし、 都道府県単位で競うことの意義も薄れているのでは」
「トップアスリートは国スポに参加していない。世界大会の誘致に税金を使うべき」といった意見が寄せられました。

県内ではことし2月、国スポの冬季大会が開催されました。大会に携わった自治体や選手たちは今後の「国スポ」についてどのように考えているのでしょうか。

国スポの冬季大会はスキーとスケートそれにアイスホッケーの3競技が行われます。37競技が行われる「本大会」に比べて開催規模は小さくなります。競技の性質上、雪の多い地域で行われることが多く、ことしの冬の大会はスケートとアイスホッケーを北海道で、スキーを県内で分担して開催されました。

今回の大会での県の事業費はおよそ3億5000万円で、このうち、県が負担する費用は2億8000万円でした。この他、競技会場となった自治体にもそれぞれ費用負担が発生しました。山形市は5400万円、最上町・3500万円、上山市は2000万円を負担しました。

このうち、最上町の高橋重美町長は、今回の大会でも町のPRや経済効果、関係人口の増加につながったとして、「国スポ」は存続すべきと話します。

高橋重美最上町長「本当に苦労はしたがこれは継続してそれぞれの開催地の苦労は必ずあるけれどやり遂げた後の地方創生につながるためにも」

最上町の会場となった赤倉温泉スキー場は、ことし、雪不足に悩まされました。町は人工降雪機を所有していなかったため、別の場所からトラックを使って会場に雪を運びました。競技コースを3分の1に短縮して開催にこぎつけましたが、大会にかかった費用は当初の予定の2倍に膨れ上がりました。

こうした事態も踏まえ、自治体の負担を減らして開催できるようにすべきと考えを示します。

高橋重美最上町長「これからの仕組みづくり、国と県と町との連携、例えば人工降雪機を国の財産として準備して、県を通してリースで使わせてもらうなんてこともあってもいいのかなということも含めて国スポは継続していくべきと思う」

べにばな国体にも出場し、ことしの大会でも入賞する活躍を見せたスキー・クロスカントリーの青木富美子選手は、スポーツ人口を保つため「国スポ」の存在は必要と話します。

青木富美子さん「(出場選手は)中学生から上は計り知れずで交流の場でもあって年齢いってもやれる全国大会がマスターズ以外では国スポしかないので、選手の寿命を延ばす場でもある。国スポがあるから頑張れる。国スポがなかったら(競技を)やらない」

冬季大会は標高の高い雪の多い場所で競技を行うなど、様々な工夫を講じて国スポを存続してほしいと語りました。

青木富美子さん「北海道に固定してもらって他の県が補助するとか(工夫)してほしい」

今回の視聴者アンケートの中で存続すべきと回答した方の中にも、開催方法を変更するなど自治体の負担を減らすべきという意見が数多くありました。自治体にとっては費用負担だけでなく、少子高齢化の進行によるスタッフの人手不足といった負担も懸念される中、今後の「国スポ」の在り方が問われています。