クマによる人的被害が過去10年で最多 食害件数も過去5年で最多 山形県内
山形県内では連日、クマによる人的被害や食害が相次いでいます。こうした中、西川町ではクリを食い荒らしていたクマが捕獲されました。25日、現場を取材しました。
このクマは、西川町水沢で23日捕獲された7歳ぐらいとみられる体長およそ1メートル50センチのオスのツキノワグマです。
中川悠アウンサー「クマが捕獲された現場周辺では、このようにクマによってクリの木の枝が折られてしまっている。そして足元を見てみるとクリの実があるが中の実が食べられてしまっている」
被害を受けて地元の猟友会が10月21日にわなを設置したところ、23日、わなにかかりました。
地面には一面にクマによって折られた木の枝と、食べられてしまったクリの実が落ちています。
こうした食害の背景にあるのが、クマの餌となるブナの実の凶作です。
県猟友会・副会長「冬眠するために木の実を食べると脂肪がつくがことしの場合、山奥のブナやナラの実が不作でならないから人里に下がってきてクリを食べている」
寒河江市では25日午前、犬の散歩をしていた男性がクマに追いかけられるなど、県内では連日、クマの目撃が相次いでいます。西川町では9月14日、国道112号沿いにクマが現れ、副会長が現場に向かいました。
県猟友会・副会長「ここまで来たらクマがそこの角から出てきた。」
国道を次々と車が走る中、クマは1時間以上にわたりクルミを食べていたといいます。
県猟友会・副会長「9月半ば過ぎからクマが増えてきた。木の実を食べたいが山にないから人里に下がってきたんだと思う。」
県などによりますと、ことし県内で確認されたクマによる食害の件数は10月15日時点で51件で、過去5年で最多となっています。収穫前の果実が食べられるケースが多いといいます。22日には大石田町で80代の男性がクマに襲われ、鼻の骨を折り大けがをする被害も発生しました。人的被害件数はことしはこれまでに5件に上り、過去10年で見ると、2020年と並び最も多くなっています。
専門家は、クマ出没の増加は、エサとなるブナの実が凶作によって不足していることに加え、クマの行動範囲が変化していることが影響している可能性があるとしています。
岩手大学農学部山内貴義准教授「山間部に近い地方を中山間地域と呼ぶ。中山間地域での高齢化が進み、管理が行き届かなくなり、人間の活動が縮小。それに合わせて、クマだけでなくいろんな野生動物が里に出やすい環境が、実は整いつつある。そこにプラスしてエサ不足の状況が加わって、より人里に出やすい状況になった」
山内准教授はクマはおおむね12月から冬眠に入り始めるとして、冬眠直前のいまの時期はクマが活発になると注意を呼びかけています。
「クマが冬眠するまでまだ時間がありますので、どうしても山に行くのであれば、あった時に対応できる装備をもって山に入っていただきたい」
県では11月30日までクマ出没警報を出し、クマによる人的被害に遭わないよう、注意を呼びかけています。