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“山形の宝”樹氷再生へ 高校生が「アオモリトドマツ」の植え替え作業に奮闘

2024年7月15日 18:41
“山形の宝”樹氷再生へ 高校生が「アオモリトドマツ」の植え替え作業に奮闘

蔵王の広い範囲で枯れてしまっている、樹氷を形作る木「アオモリトドマツ」を再生させようと、高校生たちが自生して間もない「アオモリトドマツ」を山頂付近に植え替える作業に取り組みました。

この活動は、産官学民でつくる「樹氷復活県民会議」が企画したもので、7月11日に行われた今年度1回目の活動には、樹氷の再生について学んでいる山形県立村山産業高校の生徒16人が参加しました。

蔵王の山形県側では、樹氷を形作る木「アオモリトドマツ」が害虫の食害によって、全体の2割ほどに当たるおよそ2万3千本が枯れています。このうち、樹氷の名所となっている標高およそ1600メートルの地蔵山の山頂付近では、ほぼ全てのアオモリトドマツが枯れ、人の手を加えなければ再生できない状態となっています。一帯を管理する山形森林管理署は2019年から、蔵王の中腹で自生したアオモリトドマツを山頂付近に植え替える活動を行っています。

この日は、蔵王ロープウェイ・樹氷高原駅近くのゲレンデで高さ20センチから30センチほどに成長した木をスコップで掘り出しました。
村山産業高校では2022年から生徒たちが樹氷再生に向けた取り組みに参加しています。生徒たちは慣れた様子で、木を探すのが難しいという藪の中から見つけて採取する姿も見られました。

山形県立村山産業高校・樺沢智教諭「(参加した生徒たちは)森林や林業の学習をする学科なので、日頃からフィールドワークを多くしているのである意味慣れというのか、学びの成果でこういった場所でも果敢に採取できるようになっている」

山頂に到着した一行は、先ほど採取した木を枯れたアオモリトドマツの林の中に植え替えました。山頂にはササが生い茂っていて、地面を掘るにもササの根が邪魔をします。

生徒「固いですね、ササの根があって。結構疲れますね。疲れますけど楽しい」

この日は20本の木を植え替えました。

生徒「アオモリトドマツ、2万3000本ぐらい枯れている中で20本の移植は少ないと思うが、一つひとつ育っていけば確実に再生に近づくと思う」

アオモリトドマツの植え替えが始まってから6年。

山形県みどり自然課自然公園保全利用専門員・本間曜子さん「こちらが2019年に植えた稚樹。黄緑色になっている部分がことし成長した部分。一年間に数センチしか大きくならない」

これまで山頂に植え替えられた191本の木は、9割以上が蔵王の厳しい環境を耐え、成長しているといいます。しかし、樹氷を形作る大きさになるには50年かかるとされています。

山形県みどり自然課自然公園保全利用専門員・本間曜子さん「50年で成木になると言われているので、まだまだ小さい木ですけど元気に育ってほしいですね」

山形県みどり自然課・石山栄一課長「樹氷は山形の宝。1本でも多く、1日でも早く再生できればいいと思い、こういう取り組みを行っている。まずは関心を持ってもらい、取り組みに参加してもらいたい」

樹氷復活県民会議では、8月と9月にも同様の植え替え活動を行っていくことにしています。