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いまの時期は「繁殖期」 クマが活発に動き回るので警戒を 山形県内で市街地の目撃増加

2024年6月12日 17:54
いまの時期は「繁殖期」 クマが活発に動き回るので警戒を 山形県内で市街地の目撃増加

山形県内では11日、ことし初のクマによる人的被害が発生しました。県内ではことしこれまでにクマの目撃が少なくとも80件確認されていますが、“人に近い”場所にクマが現れるケースが目立っています。その背景を専門家に聞きました。

西川町で11日に発生したことし初のクマによる人的被害。クマの生態を研究している専門家によりますと、いまの時期はクマにとって「繁殖期」にあたり、クマが活発に動き回るため特に警戒が必要といいます。

岩手大学 山内貴義准教授「繁殖期は通常6月から7月ぐらい。今ちょうど繁殖期のシーズンに入ったところで年に1度の繁殖期。オスはメスを求めてかなり大胆に動き回る。母親クマはすごい神経質になっているので、例えば人が母クマと子グマの間にうっかり入っちゃうと、襲われる可能性は十分にあるので気を付けてほしい」

県内でのクマの目撃は6月2日時点で合わせて80件確認されています。このうち、3割余りの28件が市街地での目撃で、“人に近い”場所に現れるケースが相次いでいます。
5月29日、米沢市の中心市街地にクマが出没。人的被害はありませんでしたが、市内の小学校では急きょ集団下校の措置を取ったり、警察などがパトロールし警戒を呼びかけたりする事態になりました。
こうした人里への出没が相次いでいる背景には、近年、人里にある食べ物を餌と認識するクマが増えている状況があるといいます。

岩手大学山内貴義准教授「通常は山の中に餌を求めるが、人慣れしたクマが民家周辺をウロウロする状況だと民家のものを食べ始める可能性もある」

5月、南陽市郊外の園地では収穫直前のサクランボ20キロ以上がクマに食べられる被害が発生。クマは一度だけでなく繰り返し園地に出没したため、対策として罠を仕掛けましたが、クマは素通りし、そのまま園地に侵入。黙々と食べ続けるクマに音を鳴らして警戒してみるもクマは音を気にする様子もなく無我夢中でサクランボを食べ続けました。

人里での食害を引き起こす要因の一つには餌を巡るクマ同士の争いもあるといいます。

岩手大学山内貴義准教授「山の中には食べ物があるが、強いクマがエサを押さえてしまっている。岩手でもそうだったが、若いクマが里周辺をうろうろして、食べ物を探している行動は見られました」

まもなく本格化する夏は、山にエサが少なくなるため、これからの時期もクマの出没に警戒が必要だということです。

岩手大学山内貴義准教授「夏になるとエサがなくなって全体的にクマの生息域が里寄りになる。どうしても人里に出没する機会は増える。対策は山に近ければ近いほど畑にエサとなるものを放置しないとか、草刈りをして見通しをよくすること。街中で至近距離でばったり遭って襲ってこられた時には、お腹や顔、首を隠すような感じでうずくまって通り過ぎるのを待つ。最終的には防御を取る必要がある」

また、山に入る際には撃退用の液体スプレーなどを持参したり、複数人でまとまって行動したりするなど、対策を万全にして出かけてほしいということです。