山形県沖地震から5年 津波警報解除になるまで避難所に留まってもらうために
山形県沖地震から18日で5年。酒田市では、ことし1月の能登半島地震の際、津波警報が出されたままの状況でも津波避難ビルから帰宅してしまう住民が相次いだことを受け、避難ビルに留まってもらうための対策に取り組み始めています。
酒田市にある民間の津波避難ビルのうち4か所はおととし3月から、避難する住民を24時間、受け入れられる態勢を整えました。この取り組みが早速生かされたのが、ことし1月の能登半島地震でした。
酒田市役所「飛島、16時57分津波0・2m到達」「被害ないんだな?」「はい」
元日の午後4時22分に酒田市を含む県内沿岸に津波警報が発表され、自治体からの避難指示も出されました。当時、市内の津波避難ビル合わせて6か所に920人余りが避難。酒田では午後7時8分に最大で80センチの津波が観測されました。
港南コミュニティ振興会・小野英男会長「ここにおられる方々の避難行動としてはほぼほぼ訓練の様に近所の自分たちの行くべき津波避難ビルに避難されました」
津波警報が津波注意報に切り替わったのは日付が変わった2日の午前1時15分。しかし、多くの住民が注意報に切り替わる前、津波警報が出されている間に自宅へと帰っていました。
港南コミュニティ振興会・小野英男会長「自分の体のことを考えて帰ってご飯を食べたり薬を飲んだり暖を取るなりの方が優先だと帰った場合は、帰ってもいいのではないかと。本来であれば色んな情報、避難解除というべきですかね出ませんでしたけど帰りました。」
浸水予想区域にある津波避難ビルは、いずれもいわゆる「一次避難所」で、寝泊りや水・食料の配給を想定した指定避難所ではありません。そのため、酒田市による緊急時の物資の備蓄はありませんでした。
市は、こうした備蓄が無い状況も早い帰宅につながっている可能性があるとして、避難指示が継続している間は避難所に留まってもらえるよう津波避難ビルにも物資の備蓄を行うことを決めました。そして、6月の補正予算におよそ54万円を盛り込みました。新たに、栄養補給ができるゼリー飲料と飲料水、防寒で使うアルミシートの3点のほか、紙コップやごみ袋などを5つの避難ビルにそれぞれ100人分備蓄します。また、ホテル1か所には観光客などの避難も想定し、300人分の備蓄をする予定です。
港南コミュニティ振興会・小野英男会長「行政は行政でやってくれているので我々は自分のことは自分で少し考えないといけない若干の携行品は必ず持っていくようにと研修会なりはする予定です」
備蓄は早ければ8月下旬に始まる見通しです。備蓄を進める一方、酒田市は市民に対し引き続き、避難の際には非常持ち出し袋などを準備し水や食料のほか必要な医薬品を持ち出せるよう呼びかけていくということです。