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石川県内で下水道の被害状況を調査 衝撃に強い塩化ビニール管でも多数の被害 山形市の業者が語る

2024年3月4日 18:07
石川県内で下水道の被害状況を調査 衝撃に強い塩化ビニール管でも多数の被害 山形市の業者が語る
能登半島地震の発生から2か月余りが経過しましたが、石川県内では今なお、断水が続いている地域があります。断水の解消に向けた下水道の被害状況の調査のため1月下旬から2月にかけ山形県内から水道設備業者が被災地に派遣されました。調査に当たった業者に現地の今の状況を聞きました。

下水道の維持管理などを行っている山形市の水道設備業者「丹野」は、日本下水道管路管理業協会から要請を受け、被災地の下水道の被害状況調査のため1月29日から石川県穴水町に社員3人を派遣しました。

穴水町で下水道調査株式会社丹野・吉田将さん「この機械が自走車。実際に管の中に入り、調査する機械。このモニターを見ながら、自走車を下水管内に動かし破損状況などを調査する」

吉田さんらが派遣された当時、穴水町では全域のあわせて2100戸で断水が続いていました。吉田さんは下水管やマンホールの被災状況を12日間にわたり調査しました。

穴水町で下水道調査株式会社丹野・吉田将さん「特に病院や学校、避難所になっている重要施設。その重要施設で下水道に水を流しても大丈夫か最優先に行ってきた。調査の際、マンホールを開ける必要があるが、マンホールの上に倒壊した家がきてしまったり、中に入るのも危ない状況」

能登半島地震で穴水町は震度6強を観測しました。町内の下水管の多くが衝撃に強いとされる塩化ビニール管でしたが、大きな揺れで多数の被害が出たといいます。

穴水町で下水道調査株式会社丹野・吉田将さん「塩ビ管が割れることはほとんどない。ただ、今回の地震で割れている下水管がけっこうたくさんあり、早急な復旧・修繕が必要な場所がたくさんあった」

調査で撮影された映像です。下水管には亀裂が入っていたり、大きく位置がずれてしまったりと、町のいたるところで地震による被害が確認されました。

穴水町で下水道調査株式会社丹野・吉田将さん「マンホールが隆起して、管1本分ずれた状態。20センチの管なので、20センチほどずれている。実際のところ、調査もまだ終わっていない状況だった。 調査をすべき管の50%にも満たない調査率の状態。それを考えると完全復旧までどれくらいかかるのか。私たちも見通しが立たないような状況」

石川県内では、地震から2か月が経った3月1日の時点で7つの市と町あわせて1万8380戸で断水が続いています。

「災害はいつ起きるか分からない。困ったときはお互い様。早く復旧になるよう、少しでも力になりたい」

一方、日本下水道管路管理業協会山形県部会によりますと、県内では下水管の半数近くがコンクリートや陶器でできていて、能登半島地震のような地震が発生した場合、甚大な被害を受ける可能性が大きいと話します。

穴水町で下水道調査株式会社丹野・吉田将さん「特に陶器の管は地震に非常 に弱く割れやすい。今回のような地震が起きた場合は、ボロボロに破損することが考えられる」

県内では、庄内地域で塩化ビニール管への交換が進んでいて、鶴岡市で最大震度6弱を観測した2019年の県沖地震の際は、下水道の被害は少なかったということです。一方、山形市では昨年度末の時点でコンクリートや陶器製の下水管が4割余りを占めていて、市は現在、既存の下水管の内側に新たに塩化ビニール管を作る対応を進めているということです。