【特集】「国宝の寺で寿司とワイン」 訪日客に“特別な体験”を提供 山梨でモデルツアー
日本を訪れる外国人観光客の中には「価格が高くても他の人とは違う体験がしたい」という人が多くいます。そこで、観光庁では「特別な体験」をテーマに観光の質の向上に取り組んでいて、山梨県内でも地域の観光資源を活用したモデルツアーが行われました。
このモデルツアーを企画したのは、峡東地域ワインリゾート推進協議会です。ツアーの2日目、一行は笛吹市一宮町の老舗ワイナリーで明治時代から受け継がれる石蔵の発酵槽やブドウ畑を見学し、甲州ワインへの見識を深めていました。
ワイナリーのスタッフ
「小さいたるの方が香りがワインにつきやすい。大きいたるの方が香りがまったりつけられる」
2024年上半期の訪日外国人旅行消費額は3兆9070億円に上り、1人あたりの旅行支出額は23万9000円。日本を訪れる外国人旅行者の中には、高いお金を払ってでも「特別な体験」にこだわる富裕層が一定数います。
「特別な体験」の提供とは具体的に何なのか。全国の自治体や事業者向けのヒントとして、観光庁は大きく4つの方向性を示しています。
1つ目は「夜間・早朝の活用」。2つ目は「歴史的資源の魅力向上」。3つ目は「南の国からくる外国人観光客憧れのスノーリゾートの形成」。そして4つ目、やっぱり欠かせない「食文化体験」です。
ただ多くの場合、観光客の受け入れ先は都市部にかたよっていて、地方では受け皿が十分に整っていないのが実情だといいます。
台湾から訪れた人は、都会では見られない山梨ならではの景色に感動したといいます。
台湾から来た親子
「旅行しながら知識を得られることがいいと思います」
また、中国人夫婦は甲州ワインを味わうことを楽しみにしていました。
中国人の夫婦
「日本では京都や大阪に行ったことがあります。都会から来たので田舎の風景は面白いです」
外国人観光客は増えているといいますが、山梨が日本でのワインの一大産地であることはまだまだ浸透していないといいます。
ルミエールワイナリー 藤原雅敏さん
「富士山方面に行く人が多いので、少しでもこちらにワインがあると峡東エリアに足をのばしてくれるきっかけになればいいと思う」
一行はこの後、甲州市勝沼町の国宝「大善寺」に移動。
待ち受けていたのは、日本の伝統アートとともに1000年の歴史を味わう「和食×甲州ワイン」のプレミアムディナーです。
ツアーの参加者は一般には開放されていない夜の境内で、一流の職人が握る寿司とワインを満喫しました。
中国人の夫婦
「とてもおいしいです。ライトアップがきれいでした。次は友人を連れて来たい。特別な体験だからなかなか難しいと思うが、もしまたこの機会があれば来たいです」
「特別な体験」の演出に協力した関係者も、これまでになく手応えを感じているようです。
大善寺 井上喜暢 住職
「日本らしさをより日本らしく演出して他業種の方とコラボレーションすることで、新たな山梨の観光の可能性を感じました」
住んでいるとありがたみに気づかない故郷の魅力を、外国から訪れた人が教えてくれるー。ツアーを企画した峡東地域ワインリゾート推進協議会は今後も観光資源の新たな活用を模索する考えです。
(YBSワイドニュース 2024年12月3日放送)