【特集】「甲府事件」から50年 “UFOと遭遇”元少年が語る当時の記憶 葛藤乗り越え抱く思いとは?
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UFOに小学生が遭遇し、宇宙人に肩を叩かれたー。かつて全国で話題となった「甲府事件」から23日でちょうど50年。長年、テレビ取材を断ってきた目撃者の男性が久しぶりにカメラの前で、当時の記憶と地元への熱い思いを語りました。
Q.UFOや宇宙人はいると思いますか?
「いた方が楽しいかなって」
「私はいると思います」
「僕はいないと思います」
「自分は信じちゃうタイプですね」
「子どもの頃は信じていたけど、今は信じていないです。ロマンという面では、いたらいいなと思います」
1975年2月23日。山梨県甲府市のブドウ畑で、小学2年生の少年2人がUFOと宇宙人に遭遇したとされる日です。
当時の少年の1人、山畠克博さんです。
“UFOと宇宙人に遭遇” 山畠克博さん
「怖かったですね、いまだに場面場面で(思い出してしまう)。誰かがいればいいけど、1人だとどうしても考えてしまう」
山畠さんによりますと、“未知との遭遇”があったのは甲府市上町のブドウ畑、現在の小瀬スポーツ公園北側の一角です。当時、いとこと遊んでいる時の出来事だったといいます。
“UFOと宇宙人に遭遇” 山畠克博さん
「おそらくこの辺くらい。ブドウ畑の中が火事のようになっていた。興味本位で近づいたらオレンジ色ではなくて銀色の光、まさに円盤だった」
すると、UFOから宇宙人が降りてきて、右肩を叩かれたという山畠さん。大人になった今も決して忘れることのできない恐怖体験だったと振り返ります。
“UFOと宇宙人に遭遇” 山畠克博さん
「腰が抜かすというのはこういうことだなという感じ。するするっと、びっくりしすぎちゃって。恐怖心がさらに倍増していった」
山畠さんがUFOに遭遇したとされるころ、周辺では“謎の光”の目撃情報が相次ぎました。
そのため、少年2人の話は真実味を帯び、さまざまなメディアから取材を受けたといいます。地元の新聞などで報じられると、全国で話題となりました。
ただ、山畠さんは次第に、この体験を人に話すことは控えるようになっていきました。
“UFOと宇宙人に遭遇” 山畠克博さん
「もちろん興味があって信じる人は信じるが、家族や親戚ぐるみで作り話ではないかと思う人もいる。あえてテレビで語るのもどうかなというのも思いとしてある」
テレビの取材を受けるのは久しぶりだという山畠さん。「マスクは必須」と言いながらも当時の記憶を語ろうと決意したのには、ある思いがありました。
“UFOと宇宙人に遭遇” 山畠克博さん
「山梨に戻ってきて、やっぱりさびしいんですよね、もっと活性化してもいいと思う」
仕事で県外にいたという山畠さんが地元・甲府市に戻ったのは6年前。この年はJR甲府駅前にあった山交百貨店が閉店するなど、かつてにぎわっていた街の面影はなくなっていました。
“UFOと宇宙人に遭遇” 山畠克博さん
「あくまでも僕は甲府事件の当事者として、きっかけですから。あくまでも甲府事件をきっかけで、そのほかにも(甲府には)魅力があると発信していけたら」
甲府事件から50年を迎えるのに合わせ、地元では「UFOどら焼き」が発売されるなど、事件を話題にした町おこしが活発化。こうした動きに山畠さんも協力することを決めました。
トークイベントに参加したりネット動画に出演したりして当時の体験を語ると、次第に仲間の輪が広がっていきました。
イベント企画者は
「2月のイベントではみんなで楽しんでもらえたらいいと思います。そういう(地域振興の)輪が広がっていくことで、私たちもやってきてよかったかなと思います」
Q.宇宙人はいると思いますか?
イベント企画者
「います!」
看板の製作者
「分からないですね。でも、いてもおかしくないとは思いますけど」
ともに活動する仲間内でも、宇宙人についての受け取り方はさまざま。ただ、その先にある思いはみんな同じです。
“UFOと宇宙人に遭遇” 山畠克博さん
「甲府事件をきっかけとして広がって興味をもって、山梨に1人でも多く足を運んでくれたらうれしい」
甲府事件から50年。長い間、葛藤を抱えてきた当時の少年は今、UFOと宇宙人をきっかけに出会った仲間とともに、地域の魅力発信に取り組んでいます。