円安で「仕送り2割減」ベトナム人労働者確保へ全国初の医療保険 母国の家族に適用 山梨県
歴史的な円安も手伝い、県内の観光地も大勢の外国人観光客でにぎわっていますが、その一方で日本で働く外国人技能実習生にとっては、円安は悩みの種です。
こうした中、山梨県は県内で最も多いベトナム人労働者の家族を対象にした全国初の医療保険制度の導入を決め、24日は企業向けの説明会を開きました。
山梨県大月市の自動車部品メーカーです。
こちらではベトナムから受け入れた8人の技能実習生が働いています。
このうち勤務歴が5年目となる男性は毎月、給料の約半分となる10万円を母国に住む妻と娘に仕送りしています。
しかし、最近の円安で円の価値が下がっているため、現地の通貨に換算した仕送り金額は目減りしているといいます。
ベトナムからの技能実習生
「お金を貯めたいから日本に来た。毎月10万円くらい送っているが(働き始めた時より実質)20%ほど下がっている。送ったお金は(妻が)考えて使っている。(買い物は)少しだけ減っている」
男性の話では、ほかのベトナム人実習生も日本での生活を切り詰めながら、なんとか本国に仕送りしている状況だということです。
山梨労働局の統計では県内で働く外国人労働者のうち3割近くをベトナム人が占めていて、国籍別では最も多くなっています。
しかし、こちらの自動車部品メーカーによりますと、経済成長によりベトナムの生活水準が年々高まる中、円安が続く日本の魅力は下がっていて、優秀な人材が集まりにくくなっているといいます。
こうした中、山梨県は全国初となる独自の医療保険制度を構築し、24日はベトナム人労働者を雇用する企業を対象に説明会を開きました。
この医療保険制度は県内で働くベトナム人の母国にいる家族が対象で、現地の保険会社と連携することでベトナム国内の全ての病院で保険が適用されます。
また医療保険の加入費用を一定額以上支援した企業に対しては、その額の半分を県が負担します。
県内で最も多いベトナム人労働者が安心して働き、生活できる環境を整えることで、人材確保につなげる狙いがあります。
県の担当者は「山梨を魅力的な就労地にすることで、激化する人材確保競争を有利に進めたい」と話していて、今後は制度の対象をベトナム以外の国にも広めていきたいとしています。
今回のベトナム人労働者の家族向け医療保険の募集は、6月1日から開始します。