【ニュースその後】「生成AI」役所に本格導入…どうなった?1時間以上➡数分の業務も 見えた課題は 山梨・甲府市
2024年に伝えたトピックスのその後を追うシリーズです。甲府市が夏から業務に本格導入した「対話型生成AI」。事務作業の効率化が期待された中、職員の働き方などに変化はあったのでしょうか?
甲府市デジタル推進課 保坂直希さん
「こちらが生成AIを使って作成したアンケート結果です」
甲府市が職員に行ったアンケート。この結果をまとめたのは人工知能=生成AIです。
市は今年7月からあいさつ文の推敲や企画の立案などにAIを活用しています。
甲府市デジタル推進課 保坂直希さん
「サポートして手助けしてくれる相棒みたいなイメージで生成AIを活用している」
業務の効率化を真剣に考えたことが導入のきっかけになったもので、県内の市町村では初の取り組みでした。
甲府市 樋口雄一市長(7月9日の定例会見)
「考えを整理しよりブラッシュアップして、さまざまな企画案やアイデアを創出したい」
導入から5カ月…
甲府市デジタル推進課 保坂直希さん
「ネット安全教室のあいさつ文を作成している」
甲府市デジタル推進課 保坂直希さん
「言い回しが難しい部分があるので、中学生にも理解できる言い回しにして(と指示する)」
市デジタル推進課の保坂直希さんはAIの活用で、研修会の資料作成やアンケートの集計などの時間を半分以下に減らせたといいます。
業務の効率化などを担う人材マネジメント課も、数値の入力やデータ処理の自動化を進めているということです。
甲府市人材マネジメント課 松村雄太さん
「1時間以上かかっていた集計作業を、自動化のアシストをしてもらってボタンひとつで数分で済むようになった」
甲府市人材マネジメント課 松村雄太さん
「その分を仕事の見直しや研究の時間に当てている」
市のアンケートでは、生成AIを業務に使ったことがあると答えた職員が9割を超えました。ただ、その頻度は職員や部署によって大きな隔たりがあることも分かりました。
職員からは「活用には慣れが必要だ」という意見や「文章に不適切な表現があった」との指摘もあり、AIだからこその課題も浮上しました。
一方、市民からは懸念する声も寄せられています。
市役所の利用者は
「よくテレビでは言ってますよね、『個人情報が』とか。(AI導入が)いいのか悪いのか、分かんないね」
市は「個人が特定できる情報はAIで扱わない」などといった運用ルールを作成しました。
専門家は進化するAIと人が共存するためには、高度な倫理観と目的意識が求められるとも指摘します。
県立大国際政策学部長 申龍徹 教授
「(行政のAI導入には)組織の合理化や人的資源を埋めることだけでなく、その先に住民サービスをどう安定的に確保して提供するのかの問題がある。予算は使ったが住民に伝わらないと、行政の自己満足になってしまう」
事務作業の効率化へ確実な成果をあげ、さらに活用の広がりが予想される生成AI。個人情報を扱う行政だからこそ、その運用には極めて高い透明性の確保が求められています。