「逃げてきた負い目感じる」能登地震からまもなく1年…山梨で避難生活送る夫婦の葛藤 山梨
元日の能登半島地震からまもなく1年が経ちます。山梨の県営住宅で今も避難生活を続ける夫婦を取材しました。
元日の能登半島地震は石川県に甚大な被害を与え、被災地の復興は今なお道半ばです。
石川県から避難した 山岸真里子さん
「動けなくて。本当に怖かった」
山岸正行さん(66)と妻の真里子さん(65)。
被災者に県営住宅を提供する県の事業を利用し、4月から息子が住む山梨に避難しました。
地震があった1月1日、2人はそれぞれ輪島市と珠洲市にいたといいます。
石川県から避難した 山岸正行さん
「(真里子さんが)『避難所にいるけど、ひどい』と『来てくれ』と言うわけ。(避難所の)廊下の前にいたので、ずっと俺が声を出して呼んでいたので見つけてくれて」
見慣れた街はもう、そこにありませんでした。住宅は全壊しました。
山岸真里子さん
「私たちもどうなるかわからない。まだ先のことなんて分からないんだけど、向こうにいても居場所もないし疲れるし」
山岸正行さん
「とにかく家がないということは、拠点がないということは結構つらいことで。仕事もできないし、何もできない」
山梨での避難生活は8カ月が過ぎましたが、自宅再建のめどは立っていません。
山岸真里子さん
「(避難生活は)安らぎはあります。見える景色が(被災地の)あんなすごい景色じゃないし、安心して眠れるし」
震災からまもなく1年が経ちますが、9月の豪雨災害も重なり復興が進んだ実感はまるでないといいます。
山岸正行さん
「先月も帰ったけど同じだな、変わってないな、復興とか全然感じないなって」
遠く山梨から故郷を思う葛藤の日々。2人の時間はあの日から、前に進んでいません。
山岸正行さん
「向こうから逃げてきたというか。言葉は違うかもしれないけど、負い目。向こうでがんばっている人に対しての負い目も感じる。正直なところ」
山岸真里子さん
「何がいいのか分からない。探せない」