【物議】6月から新たに課せられた税金『森林環境税』をご存知ですか?37府県では国と地方から“二重・三重取り”⁉2023年度で終了した『復興税』と同じ年額1000円に、「“ステルス増税”と言わざるを得ない」と専門家指摘
2024年6月から始まった『森林環境税』に、“ステルス増税”“二重・三重取り”などの声があがっています。一体ナゼなのでしょうか?
『森林環境税』は、森林整備や人材育成・国産木材の利用促進などに充てる財源として、住民税に年額1000円を上乗せするというものです。対象者は約6000万人で、年間で約600億円が徴収される想定です。
2014年度から住民税に年額1000円が上乗せされ徴収されていたのですが、それは2011年に発生した東日本大震災の『復興税』で、2023年度で終了しました。しかし、2024年6月からは、『森林環境税』として年額1000円が引かれています。「同じ金額なので国民は気付きにくい」ということで、経済評論家・加谷珪一氏は「導入経緯がどさくさに紛れており、“ステルス増税”と言わざるを得ない」と指摘します。
国民から徴収された『森林環境税』は、国が『森林環境譲与税』として都道府県・市町村に分配・交付します。これまでは先行して国が負担していて、2019年~2022年の4年間で約1280億円を交付。しかし、そのうちの36%(494億円)が使われていませんでした。
東京・渋谷区には、2019~2023年の5年間で9857万円が交付されましたが、使用額は900万円で、2023年に初めて使ったということです。渋谷区の担当者は、「施設の建て替えに国産の木材を利用した。余っているものは今後使用予定だ」としています。
東京・大田区では、2019~2022年の4年間で交付額・約2億2000万円に対し、使用額は0円。2023年になって、約2000万円を公共施設の木材使用に使ったということです。大田区の担当者は、「今後は園児の木育や、学校の机などに使っていく予定だ」と話しています。
『森林環境税』の分配基準は、これまで私有林・人工林の面積50%、人口30%、林業従事者数20%でしたが、今年度からは私有林・人工林の面積55%、人口25%に変更されました。林野庁の担当者によると、「森林の多い地方から『想像以上にコストがかかるので、面積をもっと重視してほしい』などの要望が多くあったので変更した」ということです。
そんな中、「国と地方から“二重取り”されるのではないか」との指摘があります。実は、37府県では、自治体が独自に『森林税』を課しているからです。
さらに、二重取りでは済まず、“三重取り”を指摘される自治体も…。神奈川・横浜市では、国から『森林環境税』として年額1000円、県から『水源環境保全税』として「地下水保全対策・人工林の整備(水の浄化のため)など」の名目で年額約880円、市から『横浜みどり税』として「緑の保全・樹林地の買い取り」などの名目で年額900円、合計2780円が住民税に上乗せされています。
横浜市の担当者は「市の『横浜みどり税』、県の『水源環境保全税』、国の『森林環境税』、それぞれ使用用途が違う」としていますが、神奈川県の担当者は「横浜市民の方から“三重取り”との指摘もある」と話しています。
(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年5月31日放送)