全国で水道管老朽化の被害相次ぐ 関西でも水道料金の値上げ…生活に支障も 身近に迫る水道危機とは?
28日、埼玉県八潮市で道路が陥没し、走行していたトラックが転落した事故は、トラック運転手が運転席に取り残され、救出活動が続いています。関西でも4年前、老朽化で和歌山市内の水道橋が崩落し、市民生活に支障が出ました。さらに、水道料金の値上げ。身近に迫る水道危機とは……。
各地で相次いでいる、水道管の破損による被害。
老朽化した水道管の比率は、全国で20.6%と、12年間で約3倍に増加。今後さらに悪化するとみられています。
4年前、老朽化が原因で水道橋が崩落し、約6万世帯が断水した和歌山市では…
藤枝望音 記者
「和歌山市内の水道管の工事現場です。いま、老朽化した古い水道管が引き上げられています」
水道管の更新に追われる和歌山市。その費用は、10年間で約290億円と試算されています。
和歌山市で水道事業を担当 企業局経理課・小池幸尚 副課長
「令和6(2024)年度には赤字転落、令和7(2025)年度には運転資金が枯渇する見通しとなっており、事業運営ができなくなることを踏まえ、今回、料金改定をお願いする」
和歌山市は、27年ぶりに、今年4月から水道料金を平均で17.8%引き上げます。設備更新にかかる費用に加え、物価高などで支出が増える一方、人口減少や節水機器の普及などにより収入は減少し、財政状況は危機的だといいます。
水道料金値上げの影響は、大阪府豊中市でも…
醤油らーめんピース・髙林明日香 代表
「ここのお店が、朝の11時から夜は遅くて午前2時まで営業しているので、長くて14時間ずっとつけっぱなしで水を流し続けているので、かなりの影響がある」
豊中市では、2月から水道料金が平均で約9%値上げに。水を多く使用するラーメン店では、早くも対策に追われていました。
醤油らーめんピース・髙林明日香 代表
「こちらが“ゆで麺機”。麺を入れてゆがいていくと水がどんどん濁ってくるので、綺麗な水を流すためにずっとここの水を流している。(値上げの影響から)ここを節水するために、少なくした水の量を出しています」
節水を心がけるなど、水道料金の値上げに備えますが、1か月で5千円、年間で6万円程度、負担が増える見込みです。最低賃金の引き上げや物価高なども重なっているため、今後、ラーメンの値上げも視野に入れているということです。
各家庭にも影響を及ぼす水道料金の値上げに、市民は…
豊中市民
「ありえないです。もっと下げてほしいです。野菜も高いし、子どもも2人いるので大変です」
「(Q:水道料金が値上げですが?)それはなかなかの もんでんな。生活にどれぐらいの支障をきたすのか 感じてみてですな」
こうした値上げついて、水道事業に詳しい専門家は、自治体だけでは対応できなくなっていると指摘します。
水道事業に詳しい 近畿大学・浦上拓也 教授
「既存の水道システムを更新するためには、莫大な費用がかかる。国を挙げて、これからの時代にあった水道システムの在り方を考えていく必要があると思う」
生活に欠かせない水。安全で安定した供給を続けていくための対策が急がれています。