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道路陥没発生から79時間 難航する救助活動 穴に重機を投入するためのスロープ設置作業が続く

2025年1月31日 17:38
道路陥没発生から79時間 難航する救助活動 穴に重機を投入するためのスロープ設置作業が続く

 埼玉県の道路が陥没した事故は、生存率が急激に低下するとされる72時間が過ぎました。現場では救助に向けてスロープを作る作業が行われ、関西でも老朽化した下水道を点検する動きも広がっています。

 陥没で出来た穴にトラックごと落下した痛ましい事故は、31日で4日目になりました。安否がわからない74歳の男性の救助に向け、30日から始まったスロープを作る作業。直径40メートルほどに広がり、がれきが溜まった穴に入るのが困難な中、きょう中の完成を目指しています。

 しかし、スロープを石灰などで固める必要があり、重機の投入には数日かかる見通しです。

 日を追うごとに範囲を拡大させていった陥没による穴。二次災害と隣り合わせの現場で、懸命な救助が続く中、事故による影響が広がっています。

 八潮市内にある中学校には避難所が開設され、市の呼びかけに応じて、住人が避難していました。

 並木雲楓 記者
 「このあたりにお住まいですか?」
 避難者
 「事故(陥没)があったところから、50メートル範囲ぐらい」
 記者
 「いつから避難所に?」
 避難者
 「きのうの朝です」

 その避難所に炊き出しにやってきたのは、地元のラーメン店です。

 地元ラーメン店
 「温かいものが一番心が温まることになってくると思い、少しでも元気になってもらえればいいかなと…」

 陥没現場からすぐ近くにある会社では、業務に支障がでていました。

 記者
 「道路の陥没で影響は?」
 陥没現場近くの会社の代表
 「電話・ファクス・インターネットもつながらなくなった。お得意先とのメールのやりとりもできない」

 さらに固定電話も…。

 陥没現場近くの会社の代表
 「なんの音もしない、呼び出し音も…」

 NTT東日本によると、陥没の影響で通信サービス用のケーブルが断線してしまったということです。

 別の市民の住宅では、ガスが止まる事態も。

 記者
 「つかないですね」
 八潮市民
 「つかないです」

 二次被害防止のため、市内の一部地域でガスの供給を停止しているということです。

 2021年、紀の川にかかる水道水を送る橋が崩落し、約6万世帯で断水する事故があった和歌山市。国の緊急点検対象には入っていませんが、埼玉で起きた事故を受け、下水道管の点検を急きょ実施しました。腐食の原因となる硫化水素が発生しやすいとされる29か所を、1週間かけて点検するということです。

 兵庫県でも、直径2メートル以上の大規模な下水道管を対象に緊急点検を始めました。老朽化するインフラを見直す動きが各地で広がっています。

 困難な救助に加え、生活にも大きな影響が出た今回の事故。原因究明と早期復旧が求められています。

◇◇◇
 (取材・報告=楠下一輝 記者)

(楠下記者)
 事故の発生から79時間が経とうとしている埼玉県八潮市の陥没現場です。

 現在も、74歳の男性の救助に向けて、穴の中に立ち入って作業ができない状況が続いています。30日午後から始まった、近くの駐車場からつながる重機を投入するためのスロープを作る作業が今も続いています。

 こちらは、31日昼ごろの上空からの映像です。直径40メートルほどの穴に重機を投入するためのスロープは、横の駐車場から穴の近くまでつながっているようにも見えますが、消防によりますと、上のアスファルトの部分しか掘れておらず、まだ作業は途中の段階だということです。

 消防や埼玉県によりますと、弱い土壌を固めるセメント型強化剤という粉をまいて、地盤を固めながら作業をしているということで、長さ約30メートル、幅4メートルのスロープを穴に向けて作る計画だということです。

 ただ、土壌を固める作業に数日かかる見通しで、実際に人が入っての救助活動までは、まだ2~3日かかるということです。

(中谷しのぶキャスター)
 「近隣住民の方からはどんな声が聞かれましたか?」

(楠下記者)
 付近に住んでいる方に話を聞いたところ、「ついこの間まで通っていた道で、これだけ長い時間、作業がかかっていることに、大変不安に感じている」という方が多くいらっしゃいました。

 いまだ救出に向けた懸命な作業が続いていますが、慎重な判断を求められる作業は、まだ見通しが立っていません。

最終更新日:2025年1月31日 17:58
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