【道路陥没】転落したトラック運転手の救助難航 新たに大きな穴も「洗濯や風呂を控えて」生活にも影響
28日、埼玉県八潮市の道路が陥没し、トラックが転落した事故で、トラックに取り残された男性運転手の救助活動が難航しています。
(取材・報告=黒木千晶 記者)
陥没事故の発生から31時間が経った現場近くからお伝えしています。現在私の後ろでは、たくさんの消防車両が来ていて、消防隊員、警察官などによる懸命な救出作業、復旧作業が行われています。先ほど穴の中にはしごがかけられたという情報や、中に作業員が入っている様子なども情報として入ってきています。
そして、白いトラックの前に、ホースが伸びた樽が置かれていて、その樽から大量の水が排水される様子が確認されました。おそらく、穴の中に水が通っているということで、水を吸い上げて少し離れた場所で排水をしていたのではと見られます。
トラックの荷台部分は、29日午前1時ごろに引き上げられました。運転席の部分はまだ穴の中にあり、男性は取り残されています。地下には下水道管のほか、ガス管も通っていて、ガス漏れの恐れもあることから半径200メートル以内の住宅には避難が呼びかけられています。
私たちも規制が敷かれた外からお伝えしていますが、穴から離れた場所にいても時折、下水道のような匂いがしてきます。現場には、28日に陥没した部分のほかに、もう一つより大きな穴が道路に開いています。未明の作業の際にさらに大きな穴がこの道路に開き、その際に電柱なども一緒に落ちていったということです。
なぜ、突然道路が陥没してしまったのか。28日からの動きをまとめました。
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陥没事故の発生から約15時間がたった29日未明。
浅賀慧祐 記者
「ものすごい音がして電柱が倒れました」
飲食店の看板が地中に吸い込まれるように崩落。電柱の土台も崩れ、かろうじて電線にぶら下がっているような状態に。転落した2トントラックの引き上げ作業中に発生した新たな陥没。運転席の部分はまだ穴の中にあり、男性運転手が取り残された状況での出来事でした。
埼玉県によると男性は74歳、28日の午後1時ごろまで呼びかけに応じていたということです。陥没でできた穴には汚水が溜まり、救助が困難なことから、排水をした上で救助作業を行うということです。
大きな2つの口を開けた埼玉県八潮市の片側2車線の県道。交差点の中央にできた1つ目の陥没は縦10メートル、横4メートル、深さ10メートル。
2つ目の陥没を捉えた午後2時頃の映像には、一部が崩れ落ちる様子が。29日朝と午後の映像を比べると、穴は確実に拡大。午後3時の時点でその大きさは10メートル四方、深さ5メートルの穴になっています。
新たな崩落が起きるリスクがある中、救助活動は困難を極め、隊員2人が軽いけがをし、病院に搬送されています。今回の道路の陥没はなぜ起きたのでしょうか。
埼玉県などによると交差点の地下約10メートル部分に下水道管が通っており、その一部が破損。そこから水が漏れ出し、周辺の土砂が緩んだことで地下に空洞が発生。その空洞が徐々に大きくなり陥没につながった可能性があるということです。
警察
「ガス漏れなど危険が予測されますので、直ちに避難をお願いします」
現場から半径200メートル以内の住人に対し、避難も呼びかけられました。ドローンが投入され、上空から内部などを確認する作業が始まった事故現場。埼玉県は下水の量が増え続けると、陥没の拡大や被害の長期化につながる恐れがあるとして、周辺の9つの市と3つの町に洗濯や風呂の使用を控えるよう協力を求めています。
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(中谷しのぶキャスター)
黒木さん、周辺住民からはどんな声が聞かれますか。
(黒木記者)
近くにお住まいの70代の方に話を伺いました。その方が住んでいらっしゃる場所は避難指示のエリアの外ということもあり、特に昨晩は避難などはせず、いつも通り過ごされたということです。ただ昨日のうちに道路が塞がると思っていたのに、こんなに影響が長引いて驚いている。下水の注意もあったので、昨日はお風呂の水を抜かずにそのまま置いているが、いつまでこのような生活が続くか不安だとおっしゃっていました。
さらに付近の道路も通行止めされているところが多く、近くで運送業をされている方は、配送に影響が出ているので早くいつも通りの生活に戻ってほしいと話をしていました。
(中谷キャスター)
そのほかライフラインの影響はどうでしょうか。
(黒木記者)
NTT東日本によりますと今回の陥没の影響で、八潮市内の一部地域で電話やインターネットが使えなくなっていて、復旧の見通しは立っていないということです。また埼玉県は下水の量が増え続けると、沈没の拡大や被害の長期化につながる恐れがあるとして、周辺の9つの市と3つの町に洗濯や風呂の使用を控えるよう協力を求めています。周辺にも影響が広がっています。