【速報】森友文書の開示を求めた控訴審の判決 大阪高裁「不開示決定は違法」赤木さん妻の訴え認める 「不開示」取り消すよう命じる
森友学園をめぐる公文書の改ざん問題で、自殺した近畿財務局職員の妻が財務省に改ざんに関する文書の開示を求めている裁判の控訴審で、大阪高裁は30日、国側の訴えを全面的に認めた一審判決を取り消し、国側に「文書の不開示」という決定を取り消すよう命じました。
亡くなった近畿財務局職員の妻・赤木雅子さんは「逆転勝訴」に「やったー!勝ったー!夫も喜んでいると思います」と喜びを見せ、亡き夫・俊夫さんの写真を掲げました。そして「本当に今まで苦労してきたことが報われたような気がした。でもこれから色々あるので、喜んでばかりはいられない」と語りました。
そして、改めて「改ざんはなぜ起こることになったのか、真実を知りたい」と訴えました。
雅子さんの弁護団は会見で、「当たり前のことを当たり前に書いた判決だ。この文書が出てくることによって、雅子さんの夫・俊夫さんがどういう思いで改ざんをさせられたかが分かることを願っていて、それが雅子さんの思いに沿うことになると思う。森友問題をもう一度チェックすることができる。国側は上告せず、可能な限り文書を開示するべきだ」と話しました。
近畿財務局の職員だった赤木俊夫さん(当時54)は森友学園への国有地売却をめぐる公文書の改ざんに関与させられ、2018年、自ら命を絶ちました。
妻の雅子さんは改ざんの指示の実態を明らかにするため、財務省が検察に提出した文書の開示を求めましたが、財務省側は「捜査への支障」を理由に開示しなかった上、文書が“存在するかどうか”さえ明らかにせず、雅子さんは文書の開示を求めて訴えを起こしています。
一審の大阪地裁は2023年9月、「文書が存在するかどうかが明らかになれば、捜査の内容や関心事項が推知され、将来の事件に支障が出るおそれがある」として、財務省側の言い分を全面的に認めました。
その後、雅子さん側が判決を不服として控訴していました。
裁判をめぐり、雅子さん側が財務省の不開示決定の取り消しを求める審査を国に請求していたところ、総務省の情報公開・個人情報保護審査会は2024年3月、「文書が存在するかどうかを明らかにした上で改めて開示するかどうかの決定をすべきだ」と答申。
しかし、財務省側は答申に従わず、雅子さんの審査請求を退ける裁決を出しました。
妻側は「国の審査会の答申を無視して文書が存在するかどうかさえも明らかにしない財務省側の姿勢は、審査会制度をないがしろにするもので極めて異常」などと主張し、控訴審は去年10月に結審。
結審後の会見で妻側の弁護団は「審査会の答申を無視して文書が存在するかどうかを明らかにしない国の処分がこのまま裁判所によってもひっくり返されなければ、これが唯一の事例として汚点になる」と訴えていました。
大阪高裁は30日の判決で、「将来の同種の事件捜査で提出を求められる文書などは多種多様であり、そこに法則性を見出すのは困難であることから、財務省が検察に対しどのような文書を提出したかが明らかになったとしても、それによって捜査手法や捜査機関の関心事項など機密性の高い情報が推知されるものとは考え難く、捜査に支障を及ぼす恐れがあるとは認められない」と指摘。
そのうえで、「文書が存在しているか否かを答えるだけで不開示情報を開示することにはならず、存在の有無さえ明らかにせずに不開示とする決定は違法だ」と判断しました。