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【激戦】兵庫県知事選きょう31日告示 過去最多7人出馬へ 全県議が不信任決議、斎藤前知事失職 

2024年10月31日 5:00
【激戦】兵庫県知事選きょう31日告示 過去最多7人出馬へ 全県議が不信任決議、斎藤前知事失職 

 斎藤元彦前知事の失職に伴い11月17日に投開票が行われる兵庫県知事選挙が、31日、告示されます。

 “パワハラ”などの疑惑をめぐり、県議会全員による不信任決議に対し、「出直し選挙」に出馬することを表明した斎藤前知事に対し、前尼崎市長や国会議員らが相次いで出馬を表明するなど、兵庫県の知事選としては過去最多となる7人がこれまでに立候補の意向を示し、激しい選挙戦になることが予想されています。

■「瞬間湯沸かし器」「暴君」も…斎藤前知事「必要な指導」 県議全員が“不信任決議”

 斎藤前知事の“パワハラ”などの疑惑をめぐって、百条委員会が約9700人の県職員を対象にしたアンケート調査では、約4割の職員が知事のパワハラを「見た」「聞いた」などと回答。

 「気に入らないことがあると机をたたいて激怒する」「到着が遅れそうになると公用車の座席を後ろから蹴る」などの具体的なエピソードが記載されていたほか、職員の間で「瞬間湯沸かし器」「暴君」などと呼ばれていたということです。

 また、疑惑を告発し、その後死亡した元幹部職員への当初の聞き取りや懲戒処分について、百条委員会に出席した専門家は、「公益通報者保護法に違反する」と指摘しました。

 これに対し、斎藤前知事は証人尋問で、職員への叱責について「不快な思いをした方がいるならお詫びしたい」とする一方で、「当時の私の認識は合理的な指摘だった」「必要な指導だった」などと主張。告発への対応についても、「告発文は誹謗中傷性が高く、適切だった」と繰り返しました。

 斎藤前知事はその後、県議会の全議員による不信任決議を受け、9月30日に失職。
 疑惑を追及する議会の百条委員会や、外部の有識者を交えた第三者委員会の調査は継続しています。

■斎藤前知事との対決に元尼崎市長や国会議員らが相次ぎ出馬表明

 30日までに出馬を表明しているのは、前知事の斎藤元彦氏(46)、前尼崎市長の稲村和美氏(51)、共産から推薦を受ける医師で無所属の大沢芳清氏(61)、日本維新の会を離党した参院議員で無所属で出馬する清水貴之氏(50)、NHK党党首の立花孝志氏(57)、レコード会社経営者の福本繁幸氏(58)、会社社長の木島洋嗣氏(49)です。

 9月30日の失職後は連日、街頭に立っておわびを続ける斎藤元彦氏(46)は、3年間の「県政の改革」の実績をアピールしています。

 3年前は自民と維新の推薦を受けて初当選を果たしましたが、今回の選挙で支援に回る会派はなく、斎藤氏は「一から歩み出すということになったが、これまで進めてきた改革、躍動する兵庫に向けた(政策の)実現を止めないというのが大きなテーマ」と訴えます。

 「斎藤氏の再選」を阻止しようと、一部の自民県議や立憲民主系の「ひょうご県民連合」の議員らが支援するのが前尼崎市長の稲村和美氏(51)です。

 稲村氏は兵庫県議を経て、2010年に尼崎市長選に出馬。当時最年少の女性市長として初当選し。3期12年を務めたました。稲村氏は、「いま兵庫県はかつてない危機にさらされている。このままにしておくことはできないと出馬を決心した」と語っています。

 県議会第2会派の「維新」は、もともと衆院選にくら替え出馬する予定だった清水貴之参院議員(50)に出馬を要請。清水氏は、維新を離党した上で「無所属」で出馬を決めました。

 清水氏は、「(斎藤県政の)良い所は引き継ぐ」とした上で、「維新がどうとかではなく、党で選挙する状況ではない。幅広くいろんな方の声を聞きながら、兵庫県を再生していくのがミッション」だと語っています。

 共産党からの推薦を受けて、無所属で出馬をする医師の大沢芳清氏(61)はどの候補よりもいち早く出馬を表明していました。

 大沢氏は29日の公開討論会で、「貧困と格差が広がって、物価高が県民の生活を直撃している。今の県政には『命の平等』の考えが必要だと思っている。医療・福祉・教育の無償化、子育て支援を行い、どこでも安心して暮らせる兵庫県を目指す」と語りました。

 「NHKから国民を守る党(NHK党)」党首の立花孝志氏(57)は24日、無所属での出馬を表明しました。

 立花氏は24日の会見で「斎藤前知事がしたことは大したことはなく違法行為もない。このまま選挙が行われて、斎藤前知事の改革が止まることはあってはならない。発信力のある私が訴えることで合法的なサポートをしたい」と語りました。

 このほか、明石市でレコード会社を経営する福本繁幸氏(58)が出馬を表明しています。

 7月の東京都知事選にも出馬した福本氏は、斎藤前知事の施策を「100点満点だった」と評価する一方で、立候補した理由を「いいことだけでは前に進まない。いいことも悪いことも含め、修正すべきところも考えた上で県政を運営したい」と語っています。

 また、衆院選で兵庫1区に出馬した会社社長の木島洋嗣氏(49)も急きょ出馬を表明しました。

 木島氏は「ライドシェア全面解禁」の実現を掲げるほか、大阪・関西万博を見据えた産業政策や、兵庫県と大阪府の連携する「兵庫・大阪連携会議」の考え方をベースに「『関西州構想』を立ち上げ、兵庫と大阪や他の府県を合併させたい」と主張しています。

■最大会派「自民」と第3会派「公明」は自主投票を決定

 斎藤知事の疑惑を追及する百条委員会の設置や不信任決議を主導した県議会最大会派の自民は、紆余曲折の末、「斎藤氏の支援は禁止」という条件を付してはいるものの、独自候補の擁立を断念し「自主投票」を決定。第3会派の公明も「自主投票」を決めています。

 知事選には、経済産業省出身の元官僚・中村稔氏と元加西市長の中川暢三氏も一時出馬を表明していましたが、告示2日前の29日に「選挙戦が政策とは離れた議論になる」「候補者乱立で斎藤前知事が優位になる可能性がある」ことなどを理由に、立候補の辞退を発表しています。

 知事選の投開票は11月17日に行われます。

最終更新日:2024年10月31日 5:00