【異変】漁獲量が97%減⁉日本の海産物が大ピンチ『秋サケ』『シシャモ』『牡蠣』『ヒラメ』に深刻な被害…日本の海に今、何が―
記録的猛暑や海水温上昇の影響で、秋・冬の味覚が大打撃を受けています。北海道では、『秋サケ』が歴史的な不漁で、『シシャモ』は休漁に追い込まれる事態に。また、『ヒラメ』や『牡蠣』など、日本各地の海に異変が起きています。世界に誇る日本の海産物に、一体何が―。
■「エサ競争に敗北」「稚魚の食欲不振」海産物の宝庫・北海道で“不漁”続出
2024年9月から秋サケ漁が始まった北海道えりも町では、2024年9月20日までの漁獲量は約39tと、10年前の同時期と比べて約97%減少しています。
2024年の『北海道内の秋サケ来遊数(予測)』は約1703万匹となり、平成以降で最少かといわれています。2004年には、過去最多となる約6058万匹を記録していました。価格も上がっていて、2019年9月は100g当たり191円でしたが、2024年9月には260.1円となりました。
“歴史的不漁”の要因は、海水温の上昇です。北海道大学・帰山雅秀名誉教授によると、日本の川で生まれたサケは海に出たあと、北太平洋やベーリング海を回遊して、成長します。しかし、ベーリング海では2010年以降、温暖化で海水温が上昇し、カラフトマスが増加。サケはエサ競争に敗北し、減少しているとみられています。
帰山教授は、「今まではオホーツク海全体を幼魚の生活エリアとして利用できたのが、2020年代以降は端的にエリアが狭くなっている」と話しています。
北海道によると、一部地域では水揚げ量は回復傾向ですが、北海道内全体の漁獲量は2023年の約4割にとどまっているということです(2024年9月10日現在)。
また、近年シシャモも記録的不漁が続いていて、2024年の推定遡上数が資源維持の目安を下回ったことから、“シシャモの町”北海道むかわ町の鵡川(むかわ)漁協は、2023年に続き2年連続で漁の取りやめを決定しました。
鵡川漁業協同組合によると、海水温の上昇で稚魚が“食欲不振”などになり、生存率が低下している可能性があるということです。
■猛暑が海に与える影響…販売現場でも実感する異変
海水温上昇の影響は、日本各地に及んでいます。山口・下松(くだまつ)市では、栽培漁業センター内で養殖していた特産品の『ヒラメ』6000匹以上が衰弱死しました。例年なら8000匹がいるということですが、残っているのは約2500匹に。
この施設では水槽の水を近くの海から取水していて、例年なら夏場でも水温は約26℃。しかし、2024年9月10日ごろから29℃の日が約1週間続き、ヒラメが衰弱死したとみられています。
人間と魚には体感温度に違いがあり、人間にとっての1℃は魚にとっての10℃ともいわれているため、魚にとっては30℃上昇したことになります。
冬の味覚『牡蠣』も海水温が高く育ちが遅かったため、水揚げ・出荷解禁に“遅れ”が出ています。広島県では、当初予定された2024年10月1日から3週間遅れの同月21日に。宮城・石巻市では、出荷解禁が例年より1か月遅れとなる10月28日となりました。
猛暑が鮮魚などに及ぼす影響について、スーパー『アキダイ』秋葉弘道社長は「海水温上昇の影響で、真タラや秋サケなどは2~3割高い状態が続いています」と話していました。
(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年10月10日放送)