【ナゼ】夢の「マイホームが建たない!?」着工遅れ半年以上も…「求人を出しても“なり手”が来ない」深刻な建設業界“人員不足”の実態

「ここに一戸建てが建つ予定ですが…もう半年以上、待っている状況なんです」
このままでは“夢のマイホーム”が、本当に「夢」のまま終わる恐れも―。
建設業界が深刻な人手不足に陥り、住宅の工事にも影響が出ている。建設関係者から聞かれたのは、「求人を出しても“なり手”が来ない」「お断りせざるを得ない物件もこれから出てくる」「災害時に誰が対応できるのか」といった悲鳴の声だった。
建設業界で今、何が起こっているのか―。
(取材・報告:瀬川裕大)
■土地を取得も半年間着工できず…「固定資産税は払わなければならない」
人手不足の影響は、家を建てる人たちに及んでいた。
東京都内に一戸建てを建てる予定の田中勲さん。土地を購入し、工務店に工事を依頼しているが、半年以上、着工できない状況が続いている。
田中さんが依頼する工務店では、高い品質の住宅を建設したいという思いから、大工の正社員4人に加え、経験豊富な一人親方を雇い、工事を請け負ってきた。しかし、最近は腕利きの大工を新たに雇用できない上、工事の注文は増加傾向にあり、工事に遅れが出ているという。
田中勲さん
「固定資産税は私のほうで払わなければいけないし、(依頼したのは)もう半年前なんで、一度すでに雑草がすごく生えてきちゃって、それを処理する費用もかかってくる。(土地を)持っているだけで経費がかかってくる。早く建ててほしいという気持ちはあるけれども、腕の良い職人さんがいないから、ある意味しょうがないかなという、ちょっと諦めの気分です」
■40年で職人『3分の1』に 施工不良を招く一因にも…被災地では復興に遅れ
建設業に携わる職人の数は、年々減少している。特に減少が激しいのが大工で、1980年に約94万人いたが、2020年には約30万人で、この40年で3分の1ほどに減った。そして、2045年には約10万人にまで減るという専門家の予測もある。
期待されるのは次世代を担う若い世代だが、40歳未満の割合は、2020年時点で全体の2割以下にとどまる。