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軍事侵攻をうけるウクライナに寄付も 世界が注目するデジタルデータ「NFT」とは?

2022年3月18日 21:03
軍事侵攻をうけるウクライナに寄付も 世界が注目するデジタルデータ「NFT」とは?
ウクライナ支援のためにつくったNFT作品(提供:草野絵美さん)

現実の世界には「物理的」に存在しないデジタルデータに価値をつけることができる「NFT」。世界が注目するなか、国内では軍事侵攻をうけるウクライナの寄付にあてるなど、社会貢献にも活用されています。みなさん、NFTを知っていますか?

■デジタルの世界だけに存在するNFT作品に世界が注目

アメリカ人アーティストのデジタルアート作品についた値段、約75億円。

ツイッター社の共同創業者が投稿した“世界初”のつぶやきのデジタルデータに、約3億円。

韓国の人気音楽グループBTSも参入するなど、世界中で注目されているNFT。

■NFTはスポーツやゲームも

NFTはアート作品のほか、スポーツやゲーム、メタバース(仮想空間)などにも広がっています。

例えば、これまで紙で売買されてきたスポーツ選手のトレーディングカードも、NFTの世界では、名場面を動画で所有することが可能に。

アメリカNBAは、人気選手のシュートシーンの動画が1000万円以上の高値で取引されたほか、国内では、メルカリがプロ野球のパ・リーグと協力して、選手の名場面の試合映像といったデジタル映像の販売を開始。購入者は自分の好きな選手の限定映像をコレクションすることができます。

■実物のないデジタルデータになぜ価値? 増田弁護士「“1点もの”としての販売が可能に」

では、なぜ実物ではなく、デジタルの世界だけに存在する作品に価値がつくのでしょうか。

そもそもNFTとは、Non-Fungible Token。“代替性のないしるし”という意味です。

NFTに詳しい増田雅史弁護士は、暗号資産に使われる技術(ブロックチェーン)を使うことで、デジタルデータを“世界で一つだけ”、“唯一無二”だと表現できるようになったといいます。


増田弁護士
「元々デジタルアートは、コピーすればどれもこれも一緒なので、“1点もの”として売ることが難しかったんですけど、ブロックチェーン上で発行される唯一性のあるトークン(NFT)にひもづけることによって、あるデジタルアートの“本物が1つ”だけのものであるかのように表現して売ることが可能になったわけです。

NFTの高額落札で話題となるデジタルアートの中には、実は誰でもダウンロードできる作品もたくさんありますが、NFTで“唯一性”というものを表現できるようになったので、それに対して一定の需要があり、購入する人がいるのだと思います」


“唯一性”を表現できることによって、そこに価値を見いだすことができるNFT。

■NFTは自己満足? 投機目的で転売も

また、自身もNFTに出品したことがあるという経営コンサルタントの坂口孝則さんは、NFTについて、“画廊で買った絵のオーナーが、デジタルの世界にある美術館にならべてみんなが見られるようにする”と例えたうえで…

坂口さん
「デジタル上で、“保有する権利”の記録を欲しいという人がいる。自己満足といわれたらそれまででしょうね」

また、坂口さんは、NFTの特徴として、転売されればされるほど、元の作者にお金が入り、次の創作活動などにあてることができるといいます。その一方で…

坂口さん
「例えば、100円で作品を購入し、次に500円で転売したら儲かりますよね、この2~3年は“投機目的”の方が多いです」

現在のNFT市場は、投機目的で作品を購入する人が多いとの見方を示しました。

■小学生アーティスト「ウクライナの子どもたちのために」

こうしたなか、利益目的ではなく、社会貢献に活用するアーティストもいます。

去年、夏休みの自由研究をきっかけに作ったデジタルアートが、NFTで高額取引されて話題になった、当時8歳の小学生アーティスト「ゾンビズーキーパー」。

母親で自身もアーティストの草野絵美さんによると、先日、ウクライナの人道支援のためにNFTに作品を出品したといいます。

草野絵美さん
「息子がウクライナのニュースで子どもたちが逃げているつらい様子をみて、何かできないかなと思い、平和をモチーフにウクライナの国旗のカラー青と黄色をベースにした作品をつくりました」

■NFTの売り上げをウクライナ支援のために寄付

ウクライナのためにつくったというNFTアート。出品した18種類の作品は、わずか15分ほどで完売しました。草野さんは、作品の売り上げ、約35万円を日本赤十字社を通じ、ウクライナの人道支援のために寄付しました。

母・草野さん
「NFTで社会貢献できることは素晴らしいこと。これからも継続的にサポートできたらなと思います」

草野さんは、アートを通じて社会貢献できる可能性があるので、今後も支援していきたいと話しました。

■「VR」や「人肉3Dアート」も アーティスト×芸能人広がるNFTの世界

様々な形で活用されるNFT。こうしたなか、日本テレビは17日、NFTオークション番組「デジセリ」を放送。番組には、坂口さんも専門家として出演しました。番組にMCとして出演した、さらば青春の光・森田哲矢さんと三四郎・小宮浩信さんは、NFTの広がりと可能性に驚きを感じたといいます。

さらば青春の光・森田哲矢さん
「アーティストと芸能人がコラボして、いくらになるのか楽しみです」

三四郎・小宮浩信さん
「番組を通じてNFTの入り口が少し広がったかなと思います」

■世界に1つだけのNFTアート作品 落札価格は?

番組では、アーティストとタレントがコラボした、世界でたった1つのNFTアート作品を販売。人肉をモチーフにしたアーティスト・dooooさんはBiSHのセントチヒロ・チッチさんの口をかたどり、専用の機械で3D化。デジタルの世界だけに存在する“しゃべるチッチの人肉3D”が完成しました。

また、シャネルなど世界的有名ブランドのプロモーションイメージなども手がけるアニメーター・シシヤマザキさんは、なかやまきんに君とコラボ。シシヤマザキさんは、実写映像をなぞり、それを何枚も組みあわせた“水彩画風イラストアニメ”を制作しました。

シシヤマザキさん
「空気が通る隙間みたいなものを作りながら塗っていきます。(動画)1秒あたり12枚描いています」

そして、2021年、自身のNFT作品が約1300万円で落札された、VRアーティスト・せきぐちあいみさんは、さらば青春の光とコラボ。仮想空間の世界に“森田の脳内”を描いたVRアートを制作しました。


“1点もの”に、いくらの値がつくのでしょうか。オークションは一週間にわたって行われます。

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