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【解説】感染対策“緩和…「自宅療養期間の短縮」「買い出しも条件付きで容認」 感染者が減少傾向

2022年9月7日 21:44
【解説】感染対策“緩和…「自宅療養期間の短縮」「買い出しも条件付きで容認」 感染者が減少傾向

第7波もようやくピークを越え、新型コロナウイルスの感染者数も減少傾向が明らかとなる中、さまざまな対策を見直す動きが加速しています。

◇自宅療養期間 短く
◇感染者の“外出”緩和?
◇全国一律に

以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。

■重症者数・死者数は高水準が続く中…水際対策が緩和

9月6日は、全国で11万2198人の感染が確認されました。過去最多となった8月19日以降、徐々に減っていて、1週間前の8月30日と比べても4万人以上少なくなっています。

ただ一方で、亡くなった人は320人報告されていて、依然として重症者数や死者数は高い水準が続いています。

こうした中、政府は「ウィズコロナ」に移行するため、様々な対策の見直しを行っています。まず7日に始まったのが、水際対策の緩和です。

これまで、日本に入国や帰国する際は、72時間以内の検査による「陰性証明書」が必要でしたが、7日からは、ワクチンの3回接種を条件に不要となりました。

日本から出国する人
「(毎回)PCR検査とかやらなきゃいけなくて、結構かなり大きい負担だった。こういう緩和によって入りやすくなるのは、本当にうれしい」

帰国した人
「(検査がなくなって)時間もすごい有効に使えました。気持ち的に楽でしたね。もし、何かあったらどうしよう、入国できないかもしれない(というのがなくなった)」

ほかにも、1日あたりの入国者数の上限が、これまでの2万人から、5万人に引き上げられました。

また、外国人観光客は、「添乗員がいないツアー」でも入国可能となりました。海外に行く人にとっては負担が減りますが、観光業の回復に即つながるかどうかは、ビザの取得などの条件が残っているため、まだ未知数といえそうです。

■「自宅療養期間」短縮へ “必要最小限の買い出し”も容認か

そして、岸田首相が6日、新たな方針を示しました。

まずは、陽性者の自宅療養期間についてです。これまでは、症状がある場合は、発症から10日間の療養が必要でしたが、これが7日間に短縮されます。また無症状の場合は、検査をした日から7日間の療養でしたが、今後は、陰性が確認されれば5日間に短縮されます。

さらに、療養期間中の過ごし方も変わりそうです。外出について、平熱に戻るなど、症状がなくなってから24時間経過した人、もしくは無症状の人は、必ずマスク着用するという条件で、「必要最小限の買い出しは容認する」といった内容で、政府は専門家に意見を聞くとみられています。ただ、公共交通機関を使うのはNGです。

■日本人の「マスク着用率」や「真面目さ」でカバー

療養期間の短縮について、感染症・呼吸器疾患が専門の加藤哲朗医師に聞きました。

感染症・呼吸器疾患が専門 加藤哲朗医師
「短縮することに不安はあるが、日本人の『マスク着用率の高さ』や『真面目さ』などでカバーできるところもありそう。ただし、高齢者や基礎疾患がある人は症状改善が遅い場合もあるので、各自が状況を見極めて判断することが大切」

「外出する場合は、『最低限』、『短時間』で『高齢者との面会は避ける』。マスクできちんと鼻まで覆うなど、マスク着用の仕方も改めて見直してほしい」

療養期間の短縮など、いつから開始するのかなど詳細は、専門家の意見を聞いて、今週中に正式決定する予定です。

■「発生届」の対象限定 全国一律で

対策の見直しは、ほかにもあります。全ての感染者の情報を届け出る、いわゆる「全数把握」についてです。以前は、医療機関はすべての感染者の名前や電話番号、報告日などの情報を、「発生届」として保健所に報告することが義務づけられていました。

そして現在は、「発生届」の対象を、高齢者や妊婦などに限定するかどうか、都道府県の知事が判断できるようになっています。ただ、実際に限定している県は、7日時点では少数にとどまっています。

なぜかと言うと、軽症者などは人数や年代のみ報告する形で「発生届」の対象外となるため、保健所からの連絡はありません。そうなると、体調が急変した時に、適切に対応できるかが課題となっているからです。

こうした中、今月26日からは、全国一律で「発生届」の対象をこうした人たちに限定することになりました。

岸田首相は全国一律とする理由について、「軽症者をフォローする体制強化のめどがついたから」と説明しています。

ただ、東京都の小池知事は7日、慎重に進めていく姿勢を示しました。

東京都 小池知事
「都とすれば現場を抱えておりますので、現場が混乱しないこと、都民の皆さんが不安に思わないこと、専門の先生はじめ現場の声も拾いながら、対策を講じていくことになる」

実際に運用するのは各自治体ですから、スムーズにいくかどうかは、まだこれからという段階です。

■新たなワクチン 10月半ば以降はすべての人が対象に

最後にワクチンについてです。

オミクロン株に対応した新たなワクチンについて、今月から接種を開始する方針が示されました。

まずは高齢者などの4回目接種が対象ですが、10月半ば以降は12歳以上のすべての人の3回目、4回目の接種が対象となります。

   ◇

「ウィズコロナ」に向けて様々な対策が緩和される方向ですが、その分、各自が自主的に自らのリスクをしっかりと判断し、マスク着用などの対策を徹底する行動が求められることになりそうです。

(2022年9月7日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)

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