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諫早湾問題 最高裁、国の異議退ける

2015年1月23日 16:37

 長崎県にある諫早湾の干拓事業を巡り国が水門を開けても開けなくても制裁金の支払い義務を負っていた問題で、最高裁は「制度上あり得る状態だ」として国の異議を退けた。水門を開けるべきかどうかという点については判断を示さなかった。

 長崎県の諫早湾では16年前の1997年に、国が通称「ギロチン」と呼ばれる水門を閉め、干拓して農地を造る事業を進めている。有明海周辺の漁業者は「漁業に悪影響が出た」として国に水門を開けるよう求める訴えを起こす一方、干拓地の農家は「農業に被害が出る」として水門を開けないよう訴えているが、別々の裁判所が双方の訴えを認めたため、国は水門を開けても開けなくても制裁金の支払い義務を負うという異例の事態となっていた。

 国は制裁金の支払い命令を取り消すよう求めていたが、最高裁判所は「制度上あり得る状態だ」として国の異議を退ける決定をした。一方で、国が水門を開けるべきか否かという点については判断を示さなかった。これにより、国は水門を開けても開けなくても制裁金を支払う義務を負う状態が続くこととなる。