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春に復旧も…“復興のシンボル”台風被害に

2019年10月17日 20:14
春に復旧も…“復興のシンボル”台風被害に

台風19号は、各地の交通機関にも甚大な被害をもたらしている。東日本大震災で壊滅的な被害を受け、今年の春に復旧した三陸鉄道が、再び大きな被害を受けた。

三陸の海と豊かな山々に囲まれた街、岩手県山田町。悔しそうな表情を浮かべ、ひとり立ち尽くす姿があった。三陸鉄道の中村一郎社長。視線の先にあったのは…。

中村一郎社長「真上にレールを見るってことは普通であれば考えられない光景ですよね。レールっていうのは上から下を見れば走っているっていう光景になるんですけど。改めて“自然の威力”をまざまざと見せつけられた思いですよね」

12日、列島に上陸し東日本を縦断した台風19号。三陸鉄道も線路74か所が損傷するなど大きな被害を受けた。

そのひとつが岩手船越駅の近くにある線路。本来は線路が見えないほど木が生い茂っていたが、山からの大量の雨水により土台が崩落。線路は中ぶらりんの状態となり、一部があらわとなった。台風上陸から5日が過ぎた今も、大部分の区間で運休を余儀なくされている。

地元岩手にとって心の支えである三陸鉄道、通称“三鉄”。東日本大震災の津波によって半分近い駅が壊滅的な被害を受けたが、震災のわずか5日後には…一部区間で運転を再開。その姿は地元に希望を与え、いつしか“復興のシンボル”と呼ばれるようになった。そして、あの震災から8年もの月日が過ぎた今年3月。

「記念列車がホームにやってきました。8年ぶりの鉄路復活。町をあげて祝う鵜住居駅です」

震災以降不通が続いていた区間の復旧が完了。岩手県の沿岸163キロをつなぐ「三陸鉄道リアス線」が誕生した。

宝来館、女将、岩崎昭子さん「三鉄が頑張っていると自分たちも頑張れる気がするので、『頑張れ三鉄』といいたい」

誰もがこの日を祝った。しかし、それからわずか半年あまり。“復興のシンボル”を見舞った再びの災害に地元では落胆が広がっている。

三陸鉄道の利用者「(三陸鉄道が全線開通して)病院に行くときに大助かりだったんです。あっという間にこうなりましたもんね。絶望です。私たちにとっては」

バスによる代行輸送を行ってはいるものの。

三陸鉄道の利用者「せっかく(三陸鉄道が)通ったのにバスだと不便なところがあるから」「台風19号で止まったために不便ですね。かなり」

車を運転できない高齢者や学生には負担となっている。

三陸鉄道、中村一郎社長「津波のときも感じましたけど、今回もまた本当に“水って怖いな”と思いますね」

復興のシンボルをのみこんだ台風19号の猛威。全線復旧のメドはまったくたっていない。