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初の“巨大地震『注意』”発表 「帰省・旅行は行ってもいいの?」 評価検討会に出席した専門家が解説

2024年8月9日 20:16
初の“巨大地震『注意』”発表 「帰省・旅行は行ってもいいの?」 評価検討会に出席した専門家が解説
気象庁の評価検討会に参加した愛工大の横田崇教授

8月8日夜、気象庁は南海トラフ地震臨時情報の“巨大地震『注意』”を発表しましたが、運用が始まってから初の発表となり、戸惑う人も多いようです。気象庁の評価検討会に参加した愛工大・横田崇教授に詳しく解説してもらいました。

初めて発表された“巨大地震『注意』”とは…?

横田教授は実際に“巨大地震『注意』”の発表に携わったそうですが、改めて“巨大地震『注意』”とはどのようなものなのでしょうか?

気象庁の評価検討会に参加 愛工大 横田崇教授:
「もともと南海トラフ巨大地震のための備えをしようということになっていますが、地震が発生する可能性が若干高まったので、念のため注意をしましょうというものです。日常の生活を送りながら、地震の備えができているかとか、避難路が確保されているかなど、これまでの備えを点検してもらう、そういう意味の情報です」

南海トラフ地震臨時情報は2019年に開始され、今回初めて発表されましたが、今回の日向灘での地震は、発表しなければいけないという定義に当てはまっていたということでしょうか?

気象庁の評価検討会に参加 愛工大 横田崇教授:
「条件の1つは、想定震源域内でモーメントマグニチュードが7以上の地震が起きた場合。この時は“巨大地震『注意』”の情報を出しましょうと。これはM7程度の地震が起きた後、M8以上の地震が起きる確率が数百回に1回程度あるからです。そして、M8の大きな地震があって大きな被害が出ているが、全部が破壊されていない、半分の領域はまだ破壊される可能性があるときは、もう1つの“巨大地震『警戒』”という情報を出します」

今回は『警戒』には至らず『注意』が発表されたということですが、午後4時43分に地震発生、午後5時半から評価検討会が開始、午後7時15分に“巨大地震『注意』”が発表されました。地震発生から発表までの流れはスムーズでしたか?

気象庁の評価検討会に参加 愛工大 横田崇教授:
「そうですね。初めてのことでもありましたけど、地震が起きた直後に津波注意報も出ていて、いろいろな対応を取っている中でも、気象庁の中ではリアルタイムに新たな情報を入手して解析して、我々に提示して議論ができるという流れでみると、比較的すべてがスムーズに進んだのかなと思います」

“モーメントマグニチュード7.0”という数字は、数式に当てはめて出される数字なのでしょうか?

気象庁の評価検討会に参加 愛工大 横田崇教授:
「マグニチュードというのが地震の規模大きさを決める指標になっているんですが、これにはいくつかの決め方があって、気象庁は“気象庁マグニチュード”というもので、もう少し速報的に決まるものを導入しています。ただ最近は、観測点が増えたり計算機の処理ができたりということになったので、断層の大きさとか滑り量だとか、そういうものまで含めた形で地震の物理的な大きさの指標にしようとするのが“モーメントマグニチュード”です」

今回、南海トラフ地震臨時情報“巨大地震『注意』”が発表されていますが、注意が必要とされる期間は“1週間”となっていますが、なぜ“1週間”なのでしょうか?

気象庁の評価検討会に参加 愛工大 横田崇教授:
「M7の地震が起きた直後ほど、引き続き大きな地震が発生する可能性が高いんですが、1週間ぐらいすると数が少なくなる。そういう意味で1週間という期間を設けたと。今回は、沖合で大きな地震があって一部被害も出ていますが、この地震についても今後1週間ぐらいは引き続き同程度の地震が起こる可能性があるので、注意してくれという呼びかけが出ていると思いますが、1週間ぐらいっていうのはそのくらい意味があるんです」

旅行や帰省は控えるべき? 日常生活で気を付けること

初めて発表された“巨大地震『注意』”に戸惑う人も多いようです。

8月8日夜、愛知環状鉄道がホームページで「利用客に対して南海トラフ地震臨時情報が発表されました。お客様におかれましては不要不急のご旅行は中止いただきますよう、お願いいたします」とSNSで発信。“巨大地震『注意』”が発表されてから12分後のことでしたが、SNSなどでは「これは行動制限なんじゃないか」などの声が上がり、これを受けて同社は9日正午に文言を訂正しています。

こういう国民の反応を、横田教授はどのように受け止めていますか?

気象庁の評価検討会に参加 愛工大 横田崇教授:
「基本的には“注意しましょう”ということなので、普段の行動しながら念のため意識をワンランク上げて備えの確認をしましょう、日常の生活をしながら再確認をしてくださいというのが、この情報の趣旨ですから、少し『注意』という言葉に引っ張られたところはあるかもしれない。改めて今回の情報の趣旨をしっかり理解してもらえばいいかなというふうに思います」

今回の“巨大地震『注意』”の発表を受けて、東海地方の沿岸部のリゾート地でイベントが中止されたり、ホテルもキャンセルが相次いだりしているところもあるんですけれども、今は夏休み期間中で、今後はお盆休み期間にも入っていきます。帰省や旅行など、移動についてはどのように捉えたらいいでしょうか?

気象庁の評価検討会に参加 愛工大 横田崇教授:
「旅行なども普段通りに考えてもらえればいいと思います。旅行に行くときに念のため旅行先のハザードマップを見て避難場所を確認するとか、ほんの少し意識を上げて旅行に行くと、もし旅先で何かあっても安全を確保しやすくなると思います。これは普段から必要なことだと思うんですが、こういう情報が出たのを機に、少しレベルを上げた対応というのも考えていただくのが大事かなと思います」

家の中についても、安全な場所にしておくために今一度確認したほうがよさそうですね。

気象庁の評価検討会に参加 愛工大 横田崇教授:
「いつ地震が起きても大丈夫なように、家具の固定が緩んでいないかとか、そういうのもちゃんと確認してください。特に寝ている場所は、できるだけ倒れてくる物がないように、安心して寝れるというのが大事だと思います。ただ、仮に地震対策が足りないことに気付いても慌てる必要はなくて、落ち着いて準備に入っていただく、そういうことが大事になるかなと思いますね。

“巨大地震『注意』”では、過度に自粛する必要はなく、普段通りの生活を送りながら、防災意識を高めておくことが大切だということです。これを機に、改めて防災グッズや自宅の地震対策などを見直しておきましょう。

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