「プーチン大統領に平手打ち」ウクライナ軍がロシア領を“奇襲攻撃”威信の失墜狙ったか
ウクライナ軍は今月6日、ロシア西部クルスク州に過去最大規模の越境攻撃を仕掛けました。ロシア軍は奇襲に不意を突かれた形で、独立系メディアは「プーチン大統領は平手打ちを受けたようなものだ」との声を伝えています。
ロシアメディアによりますと、クルスク州へのウクライナ軍の越境攻撃では、住民ら6人が死亡、66人がケガをしました。
国境付近の住民、数千人が避難を余儀なくされ、ロシア当局は連邦非常事態を宣言し、対応に追われています。
攻撃から4日目となる9日も戦闘が続いているとみられ、ロシア軍が自国の領土からいまだ、ウクライナ軍を撃退できない異例の展開となっています。
ロシア軍は現地に追加の部隊を派遣していますが、集落を制圧したウクライナ軍から待ち伏せ攻撃を受けているという情報もあり、苦戦を強いられている可能性があります。
アメリカのワシントン・ポストは8日、ウクライナのゼレンスキー大統領の顧問の話として、クルスク州の一部を保持するためアメリカに長距離ミサイルATACMSの使用許可を求めたと報じました。
ロシア領の一部の占領を続けることで、今後のロシアとの交渉を有利に進める狙いがあるといいます。
また、今回の越境攻撃で、プーチン政権の威信失墜を狙ったとの見方もあります。
ロシアの独立系メディアは、「プーチン大統領が、顔に平手打ちを受けたようなものだ」「敵を押し返せず、住民に危険が及んでいる」とするロシア政府の当局者の声を伝えていました。
今回の越境攻撃を許したロシア軍に対しては、侵攻を支持する軍事ブロガーなどからも批判の声が上がっています。
プーチン大統領をめぐっては、今月、アメリカなどと大規模な身柄交換を行い、ロシア人工作員らを取り戻したばかりです。
プーチン氏が自ら空港まで出迎えに行き、国民を見捨てない、頼れる指導者像を演出していました。しかし今回の越境攻撃によって面目を失った形です。