9日長崎の平和祈念式典 「大使欠席」なぜ? G7の6か国が手紙で懸念も…
8月9日、長崎は79回目の“原爆の日”を迎えます。その平和祈念式典に、原爆を落とした国であるアメリカや、イギリスの駐日大使が欠席する意向を示しています。なぜなのでしょうか?
「背景にあるのは『イスラエル』なんです。イスラエルはいまも、パレスチナ自治区のガザ地区で戦闘を続けています」
「長崎市は、ウクライナ侵攻を続けるロシアの招待を、3年連続で見送っているんですが、ことし、イスラエルについても招待しないことを決めました」
「その理由について、長崎市の鈴木市長は『決して政治的判断ではなく、犠牲者を慰霊する式典を、平穏かつ厳粛な雰囲気のもとで開催したいからだ』と話しています」
小栗解説委員長
「ただ、その市長宛てに実は、先月19日の時点で、日本を除くG7の6か国はこのように大使の直筆のサインを添えて、連名で手紙を送っていたんです。手紙では『毎年行われる式典の重要性』などを『理解している』とした上で、『イスラエルを招待しないと、ロシアやベラルーシなどとイスラエルを同列に置くことになる。このような事態は残念で誤解を招くものだ』などと書かれていました」
「実際に7日までに、アメリカやイギリスなど6か国の大使は欠席する意向を示していて、いずれも代理の外交官を政府代表として派遣するとしています」
「ある日本の政府関係者は、『原爆犠牲者の慰霊と、今の戦争とは、分けて考えるべきだと、内々、長崎市長の説得を試みたけれども、がんとして受け入れなかった。市長がなぜこだわるのかわからない』と話していました」
藤井キャスター
「平和を守って、平和を考えたい場所ですが、結果的に参加する大使が減ってしまったということなんですね」
小栗解説委員長
「一方、6日に式典を行った広島市は、イスラエルを招待したうえで、松井市長は大使が見守る中、イスラエル・パレスチナ情勢について触れて、核抑止力に依存する為政者に政策の転換を促すために、市民が行動するよう呼びかけました」
藤井キャスター
「こちらは、式典に参加してもらうことで直接、戦争や核兵器の恐ろしさを伝えよう、という意図もあったのかもしれませんね」
小栗解説委員長
「長崎の式典に欠席の意向を示す大使が相次いでいることについて、長崎原爆被災者協議会の田中重光会長は『来たくないというのであれば来なくて良いと思う』と話す一方、被爆者の1人は『どの国にも、戦争している事情抜きに出席してほしかった』と話していました」
藤井キャスター
「清史郎さんは、どう考えていますか?」
水曜パートナー 加藤清史郎さん
「誰が欠席するとか、それぞれの意向がどうこうというのではなく、世界のみんなでもう一度立ち返って、考えるきっかけになる1日になるべきだと感じています。8月6日と9日に、何があってどんなことがおきたのか、日本だけでなく世界が確かめる日になってほしいなと僕は思っています」
(8月7日放送『news zero』より)