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中車ら支え…猿翁、授賞式に自らの足で登壇

2013年6月27日 18:02
中車ら支え…猿翁、授賞式に自らの足で登壇

 歌舞伎俳優の市川猿翁(73)が「モンブラン国際文化賞」に選出され27日、都内のホテルで開催された授賞式に出席した。

 長きにわたって若い才能の育成などに尽力した芸術・文化の支援者に贈られる賞で、猿翁は車いすを使わず、長男の市川中車(香川照之=47)らに両側を支えられながらも自らの足で登壇。両手を大きく広げるポーズをし、トロフィーを代理で受け取った中車から手渡されると、今度は軽く右手をあげて喜びを表現した。

 受賞のスピーチは、中車が代読した。「ときには異端児と言われながらも、あふれる情熱のまま歌舞伎一筋に歩んでまいりました。こうした歌舞伎にかける情熱も若手に伝わっているものと思っております。このたびの受賞を励みにますます精進し、歌舞伎に力を注いでいく所存でございます」と猿翁の思いを伝えた。

 澤瀉屋(おもだかや)一門の市川右近(49)と市川猿弥(45)は、慶事に際し祝いの舞を披露した。
 右近は弟子を代表して「私ども市川猿翁の門下は、みなそれぞれ師匠のDNAを受け継ぎまして、師匠が成し遂げられました大偉業を後世に、そして未来に伝えていくべく芸道に精進してまいる所存です」と誓いを立てた。

 猿翁は肺炎などの体調不良で療養していたが、24日から3日連続で「六月博多座大歌舞伎」(福岡・博多座)のカーテンコールに登場するなど元気な姿を見せていた。

 関係者によると、猿翁の受賞は2月に決定したという。年明けから体調がすぐれなかったが、当初から授賞式への出席を前向きに検討すると主催者側に回答しており、この日も自らの意思で車いすは使わずに登壇することにしたという。