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話題のバンド・羊文学 「音楽よりでかいのは文学」 バンド名の由来を明かす

2023年12月6日 22:35
話題のバンド・羊文学 「音楽よりでかいのは文学」 バンド名の由来を明かす
『羊文学』の(左から)フクダヒロアさん、塩塚モエカさん、河西ゆりかさん
今年のCDショップ大賞を受賞し、初の海外ワンマンライブを開催。人気アニメのエンディングテーマを担当したことでも話題のオルタナティブロックバンド・羊文学にインタビュー。楽曲制作の裏側や印象的な歌詞を生み出す秘けつに迫りました。

■アルバム制作の裏側「1曲1曲、自分をハグしているようなメッセージ」

羊文学は、塩塚モエカさん(ボーカル/ギター)、河西ゆりかさん(ベース)、フクダヒロアさん(ドラム)の3人で構成されるバンドです。2017年に現在の編成となり、2020年にメジャーデビューしました。

今年は『FUJI ROCK FESTIVAL’23』のメインステージでライブを行うなど、20本以上の音楽イベントに出演。さらに、台北、上海で開催された初の海外ワンマンライブでは、両公演ともチケット販売開始直後にソールドアウト(レコード会社発表)するほど、アジアを中心に海外からも注目されています。

そんな羊文学がニューアルバム『12 hugs (like butterflies)』を12月6日にリリース。人気アニメのエンディングテーマや携帯電話のCMソングなど、全12曲が収録されています。

◇◇◇

――アルバムタイトル『12 hugs (like butterflies)』にはどのような意味がありますか?

塩塚:曲が12曲あって、その曲が1曲1曲、自分をハグしているようなメッセージがあるなと思って付けました。『バタフライハグ』っていうのが、自分の前で手をクロスして、自分を安心させる、自分を抱きしめて、自分を安心させるっていう動きなんですけど、そこから名前を取りました。アルバム名は私が決めました。

――河西さんとフクダさんは塩塚さんからタイトルを聞いてどう思いましたか?

河西:すごくいい名前だと思いました。制作期間が結構長くて、1日ずつとかで録っていたんですけど。それもあってか、曲たちの色合いがバラバラの曲が多くて、だけど歌詞は一貫性があったりしていて、「すごくいいね」って。

フクダ:僕も『バタフライハグ』という言葉は初めて聞きまして。すごく秀逸な言葉選びで、発明的で、すごくアルバムに対して意味のある言葉選びだなって思いました。

――アルバムの楽曲はすべて塩塚さんが作詞作曲をされていると思いますが、印象的な制作エピソードはありますか?

塩塚:「honestly」は私すごく好きな曲なんですけど、もう作るのが本当にしんどいって思っていた時があって、いろんなことを自分で考えすぎちゃった。「この曲を出したらどうなるかとか、これだとまだ足りないんじゃないのか」とか考えすぎてしんどくなった時に、その気持ちをそのまま「バン」ってぶつけるように書いたんですけど、なぜかメロディーはあんまり意識していたわけじゃないけど、全然暗くならなくてすごく力強いものになったっていうのは、自分でも不思議で。それをできてすぐ友達に聴かせて、「みんなが思っているけど、言わないことをはっきり言える所が魅力だと思うし、すごく力をもらえた」って言われて、自分のマイナスの気持ちをプラスのパワーに変えることができたのはすごく良かったなって思います。

■メンバーそれぞれが影響を受けたアーティスト「3人でやってどうなるか」

――『羊文学』というバンド名の由来を教えてください。

塩塚:中学3年生の時につけて、意味がほぼないんですけど(笑)好きなバンドに「SHEEPなんとか」っていうのがあって。“SHEEP”ってかっこいいんじゃないかなと。最初は英語でいこうと思ったんですけど、気付いたら漢字になっていて。バンドだけど、オーケストラみたいなことをやりたいって思ったんですよ。イメージで。オーケストラはバンドサウンドより大きい音像がある。だから「音楽よりでかいのは文学か」思ってつけて・・・もうやめてください(笑)すごく聞かれる度に恥ずかしいエピソード(笑)

――河西さんとフクダさんは、バンド名をどのように感じていますか?

河西:私はあとからバンドに入ったんですが、元々『羊文学』ってバンドがあることも知っていたんです。ずっと『羊文学』っていう名前は印象的で忘れなかったので、ぱっと見、漢字だから目立つし、エゴサーチもしやすいし、いいかなと思って。

フクダ:僕自身もサブカルチャーにとても影響を受けていまして、そういう要素とかスピリチュアル的な要素とか色々な側面を感じたので、一筋縄ではいかないなとバンド名から伝わってきたので、加入する時の決め手でもありました。バンド名は。

――音楽を始めるにあたり、影響を受けたアーティストはいますか?

河西:最初バンドにハマったきっかけになったのが、『JUDY AND MARY』で、そこからバンドを聴くようになって、どんどん掘り下げて『The Stone Roses』とか『PIXIES』とかそういったオルタナだったりとか、力強いサウンドが好きになっていって、その辺は影響を受けていると思います。

塩塚:小学生の時にYUIさんに出会って、自分で曲を作るっていうことが発想の中に入ってきて。そこから中学生とかでバンドを聴くようになって、一番このバンドをやる上で影響を受けたのは、『Yuck』っていうイギリスのバンド、それから『The Smashing Pumpkins』とかも影響受けました。

フクダ:僕も結構色々なジャンルから影響を受けているんですが、浮遊感とか陶酔感とかドライでダークな陰鬱な音像がとても好きなので、シューゲイザーだと『my bloody valentine』からとても影響を受けています。

――みなさん、様々なアーティストから影響を受けていらっしゃいますが、そういったところから羊文学の音楽性は生まれているんでしょうか?

塩塚:やっているうちにですかね。3人でやってどうなるかみたいな感じ。全然ロックじゃないジャンルのものを持ってきて、3人でやってどうなるかとかやっています。

私が家で演奏したやつを録音してみんなに送ったり、スタジオで弾いたのにフクダとゆりかちゃんが合わせてくれるっていう感じ。アレンジは3人でやっていて、だから「もっとこうしたらいいんじゃないか」っていうのは、口では言わないんですけど、それぞれでやって整えている感じです。

――塩塚さんの歌声も『羊文学』の魅力の1つだと思いますが、ボイストレーニングはどのようにされていますか?

塩塚:いろいろしています。普段意識していることはインナーマッスルを意識して歩くことですかね(笑)それは声だけっていうか全身のためにみたいな感じなんですけど、丹田よりを少し下の位置に重心を持ってきて、そこだけに力が入っているようにして歩くと筋肉も鍛えられるし、身体も変なところに負担がかからないっていう(笑)身体がちょっと曲がっていると声の響きが変わったりとかするので、気にはしてます。

■来年の目標をイラストで ボーカル・塩塚が描いたのは・・・

――最後に、目標をイラストでお願いします!

塩塚:来年4月21日に横浜アリーナの公演があるんですけど、横に長いアリを描きました(笑)横浜アリーナの絵は難しかったので、アリです。羽をつけてみたんですけど、この公演では私たちが大きく羽ばたけるように、頑張って準備したいと思います。