【オリックス】オリ姫デー 女性ファンが5年で約3倍に ファンを増やし続ける戦略を取材
“オリ姫”と呼ばれるオリックスの女性ファンをターゲットにしたイベントで、初日の21日には限定グッズを求め、ショップ開店前に約500人の行列ができました。さらに、開催前に実施された推しの選手を選ぶ投票企画では、去年の約2.6倍の投票数となるなど年々、人気が高まっています。
着実に女性ファンを増やしている戦略について、球団のイベント担当者とグッズ担当者に話を伺いました。
『オリ姫デー』は2015年からスタートし、今年で10回目を迎えました。そもそも、オリ姫デーを開催するきっかけは何だったのか? まずは、イベントを担当するオリックス・バファローズ管理本部 広報宣伝部の船橋京子さんに聞きました。
――『オリ姫デー』を開催するに至ったきっかけは何ですか?
船橋さん:従来、うちだけじゃないと思うんですけども、やっぱりプロ野球のファンっていうのはどうしても男性が多かったっていうところがありますので。男性だけじゃなくて、ファンの幅を広げていきたいので“女性向けのイベントっていうのができないか”っていうところがきっかけです。
――女性ファンを増やしたいと考えた理由については?
船橋さん:女性の方が、イベントに参加する熱っていうんですかね。ただ単に、野球を見に来るだけじゃなく「あれも買いたい。これも食べたい」っていうのが、そこに目を付けたといいますかね。女性が動いたら、いろんなものも動きますし。
また、女性ファンの方が男性ファンに比べてSNSの拡散力やグッズの購買意欲も高いと分析したことも開催のきっかけになったといいます。
スタート以来、年々パワーアップしており、2021年は「カフェ店員」、2022年は「キャンプ・アウトドア」、2023年は「アイドル」など、その年ごとに決めたコンセプトに沿って選手たちがなりきったグッズなどを展開。『オリ姫デー』の効果もあり、20代女性のファンクラブ会員数は、ここ5年で約3倍になったといいます。
節目の10回目となる今年は「ミュージシャン」がコンセプト。どのように決まったのでしょうか。
――今年のコンセプトが”ミュージシャン”になった理由は?
船橋さん:音楽と野球っていうのは、そもそも相性がいいところがあります。普段、野球選手ってバットやグラブを持ってますけど、(楽器の)コントラバスとかギターを持ったら絶対格好いいんじゃないかなっていう。そこのビジュアルの発想からも、今回(コンセプトが)決まりましたかね。
――こだわったポイントはありますか?
船橋さん:(衣装を)一部、海外でも調達してもらったり、国内でも古着屋さんとかにリメイクしてもらいました。ミュージシャンなんで、ステージ映えするような派手めなメイクにしてもらったり、本当にミュージシャンっていう感じに見えるようにこだわりました。楽器の持ち方一つにしても、プロのミュージシャンの方に来ていただきまして、細部にまでこだわって撮影をさせてもらいました。
■「アイドル、アニメ業界などもチェックして…」グッズのこだわり
そして、『オリ姫デー』で年々、注目度が高まっているのが“限定グッズ”です。そのこだわりについて、グッズ担当・事業本部 MD部の竹内久美子さんに聞きました。
――ミュージシャンに合わせたグッズのこだわった部分を教えてください。
竹内さん:プロ野球グッズっていうことをあまり考えずに、いかにミュージシャンっぽい商品を展開できるかというところにこだわりました。実際に音楽フェスに足を運んで、そこで販売されているグッズだとか、あとはそのフェスを楽しんでいらっしゃるお客様の様子を見て、そこからアイデアを得て商品企画に生かしました。
――野球に興味のない方にもグッズを手に取ってもらうために工夫していることはありますか?
竹内さん:野球グッズらしくない=野球選手っぽく見えないアイドルのような位置づけで、選手を見てもらえるっていうのは、普段野球を知らない方たちがグッズを手に取るハードルがすごい下がっているのかなと。
今どんなものがはやっているのかっていうのを、同じ野球界だけじゃなくて、アイドル業界だったり、アニメとかキャラクターなどもチェックするようにしていて、常日頃からアンテナを張って、商品企画に生かすようにしています。
■制作に約半年かけた、こだわりの“ぬいぐるみ”
さらに、オリ姫デー期間中の24日から、投票で選ばれた10人の選手のぬいぐるみキーチェーンを発売。約半年かけて制作され、選手の意見も取り入れたといいます。
――今年は初めて選手のぬいぐるみキーチェーンが販売されると思いますが、制作の経緯を教えてください。
竹内さん:“ぬい活”という言葉も生まれているように、アイドル業界だったり、アニメの業界ですごくはやっているグッズだっていうのは認識をしていました。当然、オリ姫の皆様からも「選手のぬいぐるみが欲しい」っていう声をたくさんいただいていて、いつか制作したいなっていう思いがありました。
――制作期間は?
竹内さん:昨年の12月からスタートしたので、約半年ほどかけています。
――どこの部分に一番こだわりましたか?
竹内さん:選手のぬいぐるみなので、似てないと意味がないので、デザイナーさんにイラストを描いていただく時にたくさん写真を用意しました。「髪形はこの写真を参考にしてほしくて、表情はこれで、口元はこんな感じで」みたいに、パーツごとに指示を分けたので、すごく(作業の)工数がかかって大変でした。
竹内さん:結構、バファローズの選手ってグッズに興味を持ってくれてる方がすごく多くて。選手のグッズは、デザインとかサンプルを制作過程の途中で(選手に)確認してもらうんですけど、「ここを、もうちょっとこういうふうにできませんか?」っていうようなリクエストをくれる選手も多くて、ファンの皆様だけじゃなくて選手にも喜んでもらえるグッズを作れているのかなと感じています。