錦織一清 「YOU、天才!」 ジャニー喜多川さんと初めて会ったときに言われた言葉
――演出にはいつから興味があったのでしょうか?
ジャニーさんというのはタレントの言うことでも聞いてくれたりとか、いいアイデアとかいい意見だったら、それを生かそうっていう素直に思っているのがジャニーさん。“自分のことだから自分でやらなきゃダメなんだ”みたいなことを言われて(演出を)やってたから、ジャニーさんと一緒に若い頃から隣にいて勉強しながらということだったんですけど、よくもめたし、『PLAYZONE(プレゾン)』というのを、青山劇場で毎年やっているのがありまして、10年目の舞台で『まとめてくれないか』っていう話から始まって、演出が好きというか、元々は自分でも演者として出ている舞台でも作品性が気になって仕方がなかったという性質を持っていまして、これ(作品)を自分の好みに変えるっていうのは、役者をやってるだけのうちはかなわないんだなと思ってね…。
■「YOU! 天才!』初めて出会ったときに言われた言葉
姉が履歴書を送ったことでジャニーズ事務所のレッスンに参加することになったという錦織さん。この時に、今でも忘れないというジャニーさんとの衝撃的な思い出があるそうです。
――ジャニーさんとのたくさんの思い出があると思いますが、一番印象深かったことはありますか?
僕の時代というのは、オーディションが何もなかったんですよね。入った時はもう全然、7、8人でしかレッスンやってなかった。その中にポンっと入れられて、『ちょっとYOU、ここで踊ってみてよ』って。それがもちろん全てのステップはできるわけじゃない。初めて踊りやってるから。そしたらそこまで、初日でそこまで動けるのがいなかったらしいんで、ジャニーさんが子どもの僕に『YOU、天才!』って。まだ12歳ぐらいの年齢の時に呼ばれる時に『YOU』って言われてみ? “えっ! 日本人なのにYOUって言われてる”っていうことですからね。これはビックリした言葉なのよ。『天才って言われちゃった』っていうことじゃなくて『YOU』がデカすぎて。(それが)嫌だなと思ってた矢先によっちゃん・野村義男さんいるでしょ。よっちゃんがジャニーさんに会った時にジャニーさんに向かって『ハーイ! ジャニーさん!』って、『ハイ!』って言ったの。こんなふうには俺はなれんぞと(笑)
■「促してくれたのはジャニーさん」
ジャニーさんに“演出”というものを教わり、表舞台のみならず制作者としても輝いた錦織さん。“作り手”としての探究心は強いそうです。
――生まれ変わっても芸能界で活躍したいですか?
思わない。だって次、決めてるんだもの。次に生まれ変わってなりたい職業は、本当に大工さんなんだから。(この半生を)後悔してるわけじゃないけど、夢のマイホームっていうさ。人間が一番人生の中で最高の最後に買うって言っていいぐらいの最高のものを作るんだよ。実は芝居作っていくのもそういうのと似てるわけですよね。芝居基礎から作りたいじゃん。タレントが基礎、邪魔だから来ないでって言われるじゃん。でも演出家だったら基礎から作らないといけないじゃないですか。
――自叙伝のタイトル『少年タイムカプセル』にちなんで、10年後の自分へメッセージをお願いします。
『10年後の私へ。今日のインタビューで答えたことと同じことを言えていますか』。これからは大切なことです。“(自分を)ぶれない”ということは。だから俺は言える自信があるわけ。10年後にも生まれ変わったら何になりたいと言われたら大工なんだから。