手塚治虫文化賞・マンガ大賞の入江喜和 最終巻執筆時は「母の認知症がかなりひどくなってしまい…」
■「来るまで不安だった」受賞に戸惑いも…
贈呈式で、「この度は栄えある賞をいただきました」と喜びを語った入江さん。「漫画を描くときもテーマとか一切考えていなくて、終わりもあまり考えないで描いているんですけど、今日いろんな評を聞いて中高年のことしか描いていないのに、こんな栄えある賞をいただいていいのか、(この場に)来るまで不安だったんですけど、ようやくいいんだなと思えるようになりました」と、安心した様子を見せました。
さらに最終巻の執筆時について、「ちょうど私の90代の母の認知症がかなりひどくなってしまって、家族も大変だったんですけど、老人ホームに入ってもらうことになって。自分でも全然どうやっていったら…という感じだったので、逆にめっちゃ元気になるような漫画にしてやると気合が入りまして。それで主人公に助けられながら、なんとかなった1年だったなと思います」と振り返りました。
手塚治虫文化賞は、漫画家・手塚治虫さんの志を継ぎ、マンガ文化の健全な発展に寄与することを目的として、朝日新聞社が1997年に創設したもの。第27回となる今回は、入江さんの作品のほか、新生賞にガンプさんの『断腸亭にちじょう』(小学館)、短編賞にやまじえびねさんの『女の子がいる場所は』(KADOKAWA)、特別賞は漫画家の楳図かずおさんが受賞しました。