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世界に通じるエンタメビジネス! 詩羽と知る…タテ読みマンガの世界【SENSORS】

2023年12月9日 10:22
世界に通じるエンタメビジネス! 詩羽と知る…タテ読みマンガの世界【SENSORS】

「タテ読みマンガ」とは、スマートフォンで読むために最適化されたフルカラーマンガだ。「ウェブトゥーン(Webtoon)」「スマトゥーン」と呼ばれる場合もある。現在の市場規模は約5000億円、5年後には7倍の約4兆円に達すると予想されている。

タテ型になることで、なぜこれほどまでに市場が急拡大しているのだろうか。

■タテ読みマンガが世界的に人気

日本の代表的なマンガアプリ「LINEマンガ」では、売上トップ10のうち上位8作品が「タテ読みマンガ」だという。また、グローバル展開を行うタテ読みマンガプラットフォーム「NAVER WEBTOON」は9ヵ国語で配信、そのユーザー数は1億人に迫る勢いを見せている。

LINE Digital Frontierの森 啓 取締役COOは、タテ読みマンガの世界的人気の理由について次のように述べる。

「タテ読みマンガはフルカラーで、コマが大きく見やすい点が特徴です。また、従来のヨコ読みマンガは日本の場合、右から左に読むが、海外では左から右に読むのが一般的なため、馴染みがありません。タテ読みマンガは上から下に読むので、世界中の人に受け入れられやすいフォーマットだと言えます」

■デジタルならではの仕掛け

世界が認める日本のマンガ。これまでに数々のマンガを世に送り出してきた出版社だけでなく、IT企業やスタートアップ企業も次々にタテ読みマンガ事業に参入、原作IP(IP=Intellectual Property :知的財産)を保有する形で、世界に通じるエンタメビジネスに打って出ようとしている。LINE Digital Frontierの森取締役COOは、タテ読みマンガのビジネスモデルの特徴について次のように解説する。

「従来の紙のマンガとは違い、タテ読みマンガはデジタルならではの仕掛けができます。たとえば、『第1話無料配信』など、まずは無料で読んでもらう体験で新たなユーザーを引きつけ、読者を獲得していくことができます」

そのほか「広告を見れば、次の話を無料で読める」といったアプローチや、顧客データの細かな分析も可能なため、「どんな人に作品が読まれているか?」「どのジャンル、どんなシーンや展開の需要があるか?」など、読者のニーズを迅速に読み取ったうえでコンテンツを提供できる。デジタルを活かしたさまざまなビジネスの展開が可能なのだ。 

■世界を視野に制作 韓国のタテ読みマンガビジネス

「タテ読みマンガ」の人気が世界的に高まる中、韓国はタテ読みマンガで世界をリードしている。韓国発のタテ読みマンガの実写化は、多くの国で大ヒット。例えば、韓国ドラマ「梨泰院クラス」もその一例だ。2023年11月にも韓国で人気のタテ読みマンガ「プレイリスト」がHuluにてオリジナルドラマ化され、日韓同時配信で話題を集めている。

韓流アイドルが、デビュー時から世界展開を前提にしたエンタメを確立しているように、「タテ読みマンガ」もまた、世界を視野に入れた制作で人気を博しているのだ。

日本と韓国にスタジオを持ち、タテ読みマンガの制作・配信を手掛けるアニメイトグループのロケットスタッフ株式会社代表の高 榮郁(こう・よんう)さん。韓国のタテ読みマンガの強みについて次のように語る。

「日本では、マンガは出版社、ドラマなどは制作会社が作る場合が多いのですが、韓国ではマンガを制作した会社が、関連会社をたくさん持っていて、映画制作・ドラマ・音楽とすべてまとめて手掛ける場合が多いと言えます」

タテ読みマンガの制作現場の特徴について「ロケットスタッフ株式会社」の鳴瀬麻美さんに、さらに詳しく聞いた。

「タテ読みマンガの制作現場は、ネーム(絵コンテ)、背景、線画、カラー担当などの分業制です」

当然、紙は使わず、すべてデジタル上で制作。着色には、AIを活用した自動彩色ツールが活用されている。数多くの作品を生み出すために、色塗りなどは海外に送って作業してもらう会社もあるという。また「背景制作には、建築用の3Dソフトを使用し、効率的な運営を図っています」と鳴瀬さん。

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ロケットスタッフ株式会社代表の高さんは、デジタルを駆使した効率化の理由について次のように説明する。

「タテ読みマンガはおおむね70コマ程度で構成され、1話を約2分ほどで読んでもらう目標で制作するケースが多いです。時間をかけて読むユーザーはそれほど多くないため、3D技術などを活用してサクッと制作できる方がいいと思っています」

これまでにもマンガで世界をリードしてきた日本が、そのIPでさらに世界へ打って出るチャンスも広がる「タテ読みマンガ」。今後の市場拡大に要注目だ。