酒造りの“勘”をマニュアル化 福島県が日本酒日本一に輝くまでの喜怒哀楽とは
福島中央テレビが夕方に放送している「ゴジてれChu!」は、その前身となる番組も含めて2024年10月に放送30周年を迎えます。
10月4日には放送枠を拡大し、視聴者のみなさまに感謝を届ける「ゴジてれ4時間スペシャル」を放送する予定です。このうちニュース番組「ゴジてれChu!第3部」では、この30年間に伝えたニュースのなかから映像を厳選し、視聴者のみなさんと共にした「喜び、怒り、悲しみ、楽しんだ出来事」を「喜怒哀楽スペシャル」と題して振り返っていきます。
3日はその事前企画として、県民が「喜んだ」日本酒日本一の歴史を振り返ります。
福島の日本酒の味や品質が非常に高いことを証明した「全国新酒鑑評会・金賞受賞数9回連続日本一」。その立役者の1人が、県の日本酒アドバイザーを務める鈴木賢二さんです。
■福島県日本酒アドバイザー 鈴木賢二さん
「実は福島県って平成2年の全国新酒鑑評会で1つも、金賞を取ることはなくてですね。お酒って県としてのイメージが非常に高いものですから、やっぱり県を挙げて頑張っていこうって」
今でこそ、全国新酒鑑評会で、金賞の常連となっている福島県の酒蔵。ですが、その昔は、そうではありませんでした。そこで取り組んだのが…
■福島県日本酒アドバイザー 鈴木賢二さん
「いわゆる「福島流吟醸酒製造マニュアル」っていうものなんですけども」
杜氏の「勘」に頼っていた部分を、客観的に分析し、酒造りをマニュアル化したのです。マニュアルが最初から受け入れられたわけではありませんが、徐々に知れ渡り、酒蔵同士が切磋琢磨する環境が生まれます。
そして、2006年に初めて金賞受賞数日本一となり、努力が実を結びます。
■福島県日本酒アドバイザー 鈴木賢二さん
「もう他の県から絶対これは間違いだと思われていて、だからもう本当フロック(まぐれ)だと思われて」
まぐれだと思われても、その実力は確か。2013年からは、コロナ禍の中断をはさんで9回連続で日本一を達成します。福島第一原発事故の風評被害にも負けませんでした。
■福島県日本酒アドバイザー 鈴木賢二さん
「2011年の東日本大震災の風評被害があって、なかなかあの当時、宮城県、岩手県、そして福島県のお酒をこうやって並べて売っても、どうしても福島の酒は敬遠されたことがあって。やっぱり悔しい思いをしたものですから、それが皆さんの金賞っていうよりは「日本一を必ず取りたい」っていうことで、意気込みにつながったのかなっていうふうに思ってます。」
今では福島の日本酒のおいしさは海を超え、海外でも高く評価されています。
■ゴジてれChu! 野尻英恵キャスター
「日本酒が福島県民にとってどんな存在であってほしいと願ってますか。」
■福島県日本酒アドバイザー 鈴木賢二さん
「うまくコミュニケーションツールの1つになって、そして美味しいお酒が話題になっていただければありがたいなっていうふうに思ったんですけども、「時代を見つめながら美味しいものをずっと提供していきたい」と思ってます」