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南海トラフ巨大地震 約10年ぶり新想定 私たちの生活どうなる?【きっかけ解説】

2025年4月3日 4:24
南海トラフ巨大地震 約10年ぶり新想定 私たちの生活どうなる?【きっかけ解説】
ニュースのその先を考える記者解説。3日のテーマは「南海トラフ巨大地震 約10年ぶり新想定 私たちの生活どうなる?」です。社会部・藤吉記者の解説です。【きっかけ解説

南海トラフ巨大地震の被害想定について、およそ10年ぶりに見直されました。

こちらは、新しい被害想定における最大の震度分布です。

最悪の場合、震度6弱以上の揺れが600市町村。震度7以上は149市町村に及ぶと想定されています。

関東から九州の広い地域を10メートル以上の津波が襲うなど、激しい揺れと津波が「超広域」に及ぶことが特徴です。

そして、最大の死者数は前回の想定の32万人あまりから「29万8000人」に更新されました。

このうち7割が津波による死者です。

――32万人からおよそ30万人と、あまり数字は減っていないようにも見えます。なぜでしょうか。

津波避難タワーの建設など対策は進み出していますが、この十数年で地形を正確に測る技術が進歩し、新たな想定では、前回の想定で津波が来ないとされていたエリアでも新たに浸水するとされた地域が多くあります。

このためトータルでは2万5000人ほどの減少にとどまりました。

では、私達の生活がどうなるかみていきましょう。

最悪のケースでは、建物の被害は最大でおよそ235万棟に及ぶとしています。

地震から1週間後には、人口の1割にあたるおよそ1230万人が避難を強いられ、1か月後でも1200万人は避難生活を続けている状態です。

食料や飲み水も不足するとみられます。地震から3日間の合計で、最大で1990万食の食料、4370万リットルの飲料水が足りなくなると推計されます。

そして、南海トラフは被害が広域すぎてすぐに応援が来ない可能性がありますし、懸念されるのは、避難生活中に病気の悪化などによって死亡する「災害関連死」です。

――能登半島地震や熊本地震では、この災害関連死が地震の直接の死者を上回っていましたよね。

今回初めて、災害関連死の推計が公表され、最大で2万6000人から5万2000人と出されました。東日本大震災の10倍以上です。
影響が長引くため、経済被害も甚大で、合計で270.3兆円に及ぶとしています。これは国の予算の2倍以上に相当します。

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